株を買うために企業を知ろうゼロからはじめる株式投資入門(1/4 ページ)

» 2013年10月29日 08時00分 公開
[三井智映子,Business Media 誠]

集中連載「ゼロからはじめる株式投資入門」について

 本連載は、三井智映子著、書籍『最強アナリスト軍団に学ぶ ゼロからはじめる株式投資入門』( 講談社)から一部抜粋、編集しています。

「株価ってどうやって決まるの?」「株式相場の決まりごとって?」「何を買うべきか、どうやって狙うべきか」株の上がり下がりの基礎の基礎から微妙な判断のテクニックまでを網羅。

“美貌の気鋭アナリスト”による初心者向けの「株式投資のイロハ」から、著者と学ぶ銘柄選びのポイントやタイミング、そして応用編のテクニカル分析まで、この1冊で初心者から機関投資家、金融機関の資金調達担当者までが学べる株の実用書決定版!


株を買うために企業を知ろう

 いよいよどの株を買うべきかというお話です。

 企業が発行した有価証券を銘柄といいます。この銘柄の選び方のポイントは、ごく単純に言えば「成長しそうな株を選ぶこと」です。

 はじめは自分が興味があったり、仕事などの関係で内情にくわしい業種のものを選ぶと良いでしょう。例えば洋服が好きな人は、よく自分が買うブランドの製造元や販売店を調べてみたり、最近ここのブランドが流行している、という着眼点をもつことも、成長企業を見極めるには大切です。

 気になる企業ができたら、その企業のホームページを開いてみてください。とくに上場企業なら、ホームページには投資家情報が記載されているものです。そこで企業の決算内容として公表される業績と財産の状況を表した決算短信や、企業が事業年度終了後に作成する、財務諸表などを掲載したアニュアルリポートを閲覧することができます。業績や製品、グループ企業、従業員数、企業戦略など、その企業の活動の実態も分かります。そこで、前年同期比の業績や成長の度合いをチェックできます。

 そうして基礎情報をインプットしたうえで、私たちアナリストの意見やリポートなども参考にしてみてください。先にも触れた金利や為替などの諸条件も加味した分析は役に立つはずです。

 さて、取材の際にアナリストが必ずおさえるポイントが以下の4つです。

  • 何をやっている会社で強みは何か?
  • その強みを生かした最新の業績数値はどうなっているか?
  • 今期の業績予想はどうなのか?
  • 中期的な成長シナリオと株主還元への考え方は?

 この4点が企業分析のキモと言えるでしょう。

 個別の銘柄の動きをチェックするにはその企業の決算のほか、業界にまつわる新聞記事、企業が公表する月次動向などのリリースや各証券会社によるレーティング(格付け)情報などを確認しなければいけません。

 なかでも一番重要なのは決算です。決算発表を受けて動いた株価は、市場が予想したその企業の業績を反映したものです。新聞で得られる情報には買収や新製品開発、増産、業績などがあります。例えば買収は、資金負担が懸念されるという、マイナス要素もあるのです。

 月次動向は一般の人にも入手しやすい情報ですが、これを受けてすぐに株価が反応するかというと微妙なところもあります。リリースには自社株買い(※1)や新規の株を発行することなどによる資金調達、いわゆるファイナンスなどがあります。ファイナンスにはCB(※2)、SB(※3)、企業が50名以上の個人投資家に新株を売り出す公募増資があります。公募増資は株主が増える、資金調達の結果として設備投資が行われ、その企業が成長する期待が高まるというメリットもありますが、株価が落ち込んでいるときには買い手がつかない、つまり需給悪化が懸念されて株価が落ち込んでしまう可能性もあります。

 ちょっと難しい話になってしまいましたが、結論から言うと通貨もモノも株も多いほうが価値が下がる、つまり安くなるということです。天秤で重いほうが下がるように、相対的に多いか少ないかで価値が決まっているのです。株の場合、公募増資をして発行済の株式数が増える(天秤でいうと重くなる)と、一株あたりの株の価値は相対的に安くなるわけですね。

 そのあたりも踏まえて、銘柄を選ぶ際は「いまどこに需要があるのか?」という点に、とくに着目していくと面白いですよ。

※1 自社株買い=企業が市場から自社の株式を買い戻すこと。1株あたりの資産価値が向上、好材料となる
※2 CB(転換社債型新株予約権付社債)=株式に転換する権利の付いた社債。企業が資金調達を行う手法の1つ
※3 SB(普通社債)=企業が設備投資資金等を調達するために発行する債券。企業が資金調達をおこなう手法の1つ
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