鉄道イベント列車が快走する――“おもてなし”の心を乗せて杉山淳一の時事日想(1/5 ページ)

» 2013年10月18日 06時50分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


「北陸本線100周年記年号」パンフレット(出典:日本旅行)

 北陸本線は滋賀県の米原駅と新潟県の直江津駅を結ぶ。途中に福井駅、金沢駅、富山駅があり、ほぼ日本海に沿う356.5キロメートルの路線だ。131年前の1882年に東海道線と鎮守府のある敦賀を結ぶ路線として開業し、その後、部分開業と接続を重ねて、1913年4月に全通した。今年、2013年はそれから100周年というわけだ。そして10月14日は「鉄道の日」。鉄道会社はこの日の前後に各地でさまざまな鉄道イベントを開催する。鉄道ファン向けはもちろん、鉄道会社から沿線の人々へ感謝の気持ちがこめられている。

 「北陸本線100周年記年号」もこの時期にあわせて運行された。10月13日に敦賀駅から糸魚川駅まで、翌日の14日に糸魚川駅から敦賀駅まで、あしかけ2日で1往復する。ツアーは往復乗車1泊2日の宿泊付きプランが大人2万7800円から。13日の片道のみ、14日の片道のみがそれぞれ大人1万1800円というパッケージだ。

 使用車両は475系といって、国鉄時代につくられた急行型電車である。列車種別の「急行」は国鉄末期からJR時代への過程で、ほぼ“絶滅”した。そのため475系は現在、室内を改造した上で普通列車用として運行されている。通常の車体色は白地に青帯、最近は青一色に塗り変えられている。しかし「北陸本線100周年記年号」は国鉄時代に復元。あずき色(ローズピンクとも言う)とクリーム色に塗り分けられた車両を使って懐かしさを演出した。6両編成のうち3両は最近になって塗り替えられたばかりで、JR西日本の「粋なはからい」といったところ。乗客は若い鉄道ファンが多い中、国鉄時代の旅を懐かしむ40代、50代以降の姿も多かった。

使用車両は475系。ヘッドマークは金沢まで急行「立山」。かつて大阪と富山を結んだ
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