オリンピックの開催国で「デモ」や「暴動」が増える理由窪田順生の時事日想(1/3 ページ)

» 2013年09月10日 07時45分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


2020年の夏季五輪が東京に決定した

 アルゼンチンの首都・ブエノスアイレスで開かれたIOC総会で、見事なスピーチを披露したフェンシングの太田雄貴選手の「剣」を、彼が小学3年生のころからメンテナンスしている職人さんがいる。

 京都のフェンシング専門店「KFE」の坂口武己さん。この道、50年以上の大ベテランは24歳の時に人生を変える経験をした。東京オリンピックで代表選手のメンテナンスに抜てきされたのである。

 世界の一流選手たちのなかで、奮闘する日本代表を後方から支えた。結果、フェンシングは団体4位。頑張れば日本人だって――。瞳を閉じれば、今もあの時の歓喜がよみがえる。太田選手たちにもあの経験をしてもらいたい。緑色のケースに入った東京オリンピックの身分証明書を手にしながら、そんな思いを語ってくれたのを、よく覚えている。

 坂口さんだけではなく、「東京オリンピック」は多くの人に「夢」を与えた。そういう意味では、今回の誘致成功も喜ばしい。「明るい目標」は今の日本に最も欠けている。確かにツッコミどころも多いけれど、総理の言う「デフレ脱却の起爆剤」にできるのであれば、ぜひそうしていただきたいとも思う。

 だが、そのためにはオリンピックの「副作用」にも目を向けなければいけない。

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