「なぜ生きたいのか」を真剣に考えてこなかった人が死ぬときに後悔する34のリスト(1/3 ページ)

» 2013年08月30日 07時00分 公開
[川嶋朗,Business Media 誠]

集中連載「人が死ぬときに後悔する34のリスト」について

本連載は、川嶋朗著、書籍『医者が教える 人が死ぬときに後悔する34のリスト』(アスコム)から一部抜粋、編集しています。

明日死ぬとしたら、あなたは人生を後悔しない自信がありますか? 人はいつ死ぬか分かりません。もしかしたら明日、いや、今日死んでしまうかもしれないのです。そのときに後悔をしても手遅れです。だからこそ、生きているいま、やるべきことをやらないといけないのです。

「なぜ生きたいのかを真剣に考えてこなかった」「やりたかったことができなかった」など、本書では、人が死ぬときに後悔することを34のリストにして紹介しています。来るべき死を他人事ではなく、自分にも必ず訪れる人生の義務のようなものととらえ、今生きている人たちが後悔なく、納得して人生をまっとうするためのヒントを提示しています。


著者プロフィール:

川嶋朗(かわしま・あきら)

東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニック所長、医学博士。漢方をはじめとするさまざまな代替、伝統医療を取り入れ、西洋近代医学と統合した医療を担う。

「理想的な死とは何か」を考え、QOD(クォリティ・オフ・デス=死の質)を充実させることを提案。『医師が教える幸福な死に方』『すべての病は「気」から』ほか著書多数。


医者は奇跡を起こせない

 私が所長をしている東京女子医科大学附属青山自然医療研究所クリニックには、西洋医療では手の施しようもなくなり、「手は尽くしましたが、もう助かりません。余命○○です」と宣告された人がたくさんいらっしゃいます。

 木村さん(仮名、50代男性)もその1人でした。今まで病気らしい病気をしたことがなかったのに、いきなりステージ4の肺がんを宣告されてしまったのです。

 胸が苦しくなって病院に行き、調べた結果、胸水がたまっていました。肺腺がんでした。進行してリンパ節への転移や遠隔転移を起こしやすく、死亡率が高いがんと言われている病気です。

 「先生、お願いします。まだ死にたくないんです。なんとかしてください」

 こう訴える木村さんの緊張をほぐそうと、私はこう言いました。

 「多分、大丈夫だと思うんですけど。治療すると、生きちゃいますよ。生きちゃって、よろしいんですか?」

 すると木村さんの顔が緩み、それまで怖れと不安に歪んでいた表情に、かすかな笑みが浮かんできました。

 笑いが取れたらこっちのもの。患者がなんとかなると自分で思ってくれれば、それだけでずいぶんと違います。

 病気が悪くなるかよくなるかは、その人の考え方や態度次第です。病気に気持ちが負けて、よくなろうという意欲を失くしてしまえば快方に向かうことはありません。患者自身が「よくなろう」と思わなければ、よくはならないのです。

 医者が患者を診察して分かるのは病態だけです。どんな名医でも、その病気を引き起こした本質的な原因は分かりません。原因が分からなければ、それを取り除くことはできません。

 だから医者は病気を根本から治すことも、何かの魔法で奇跡を起こすこともできません。医者が患者に提供できるのは、その病態に合った病名、そして症状を一時的に抑える治療だけです。

 病気の根本的な原因は患者自身にあり、それに気付くことができるのは患者だけだと私は考えています。それに気付いて自分を正せる患者が、西洋医学の常識では信じられないような奇跡を起こすのです。

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.