JR東日本さん、その卸値、安くない? Suicaのビッグデータ騒動杉山淳一の時事日想(1/5 ページ)

» 2013年08月02日 08時47分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 すでに定着した言葉に異議を唱えても仕方がないが、「ビッグデータ」という単語は実態に即していない。単なる大容量データという意味なら「ラージデータ」と同義語のように思える。しかし、いま流行りのビッグデータは違う。インターネットサービスの利用や消費生活などによって、個人が生産するデータの集合体をビッグデータと呼ぶ。それなら、小さなデータ、つまりミクロなデータを寄せ集めた「マクロデータ」のほうが正確だ。「ビッグ」という、一見分かりやすく、かつ不明確な言葉を使うから、かえって「怪しい」という印象になる。

 それはともかく、JR東日本はSuicaで取得した乗客の動向データを市場調査用として日立製作所に販売している。日立製作所はそのデータを基に、駅の利用者の傾向などをまとめた市場調査用レポートとして加工し、企業向けに販売するという。価格は10駅ぶんで年間約500万円だ。これが個人情報の売買にあたる可能性があると報道されている。JR東日本は個人特定の恐れはないと釈明し、Suica利用者のうち、希望者にはデータ提供をしない処置をとると発表した(関連リンク)

JR東日本が日立製作所へ販売したSuicaデータの流れ(出典:JR東日本Webサイト)
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