鳩山元首相が中国に「友愛」を感じる理由窪田順生の時事日想(1/3 ページ)

» 2013年07月02日 08時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

窪田順生氏のプロフィール:

1974年生まれ、学習院大学文学部卒業。在学中から、テレビ情報番組の制作に携わり、『フライデー』の取材記者として3年間活動。その後、朝日新聞、漫画誌編集長、実話紙編集長などを経て、現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌でルポを発表するかたわらで、報道対策アドバイザーとしても活動している。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受賞。近著に『死体の経済学』(小学館101新書)、『スピンドクター “モミ消しのプロ”が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)がある。


 鳩山さんがまたまたダイナミックにやらかした。

 「中国側から見れば盗んだというふうに思われても仕方がない」

 「カイロ宣言の中に尖閣が入るという解釈は中国から見れば十分に成り立つ話だ」

 大騒ぎになったので今さら詳細は必要ないだろうが、要するに尖閣諸島に対する中国側の主張に「おっしゃるとおりで」とモミ手で追随するような発言を連発されたのだ。

 あのルーピーを国から出すな、という愛国者のみなさんのお怒りももっともだが、まがりなりにも元首相がわざわざこのタイミングに中国まで出向いて、「失言」をするというのは、なにかしらの意味がある。

 例えば鳩山発言の5日後に控えていた、「ASEAN外相会議」なんかかなりクサい。

 ずいぶん前からここでの焦点は、南シナ海でやりたい放題の中国海軍についてといわれていた。彼らにスカボロー礁を奪われたフィリピンは国際司法裁判所に提起している。パラセル諸島を奪われ、漁船が発泡されたりしているベトナムでも、「ウチも訴えるべきだ」なんて声があがっているが、習近平が「棚上げ」を言い出して懐柔している真っ最中だ。

 この会議は昨年、南シナ海問題で物別れに終わっている。2年連続となると、「元凶」である中国への風当たりも強くなる。

 こういう“繊細な時期”に欲しいのはやはり友好国からの「援護射撃」だ。が、周辺国はどこもだいたい揉めているので、擁護(ようご)する声はなかなかでない。そこで出番となるのが、「親中」で知られる日本の政治家だ。

鳩山首相の発言が、またまた大問題になった
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