米国のシェール革命によって揺れる米中露のバランス藤田正美の時事日想(1/2 ページ)

» 2013年06月12日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 米国と中国の首脳会談。ワシントンではなくカリフォルニアの保養地という異例の場所で開かれた。そればかりでなくオバマ大統領と習主席の会談は合計8時間にも及んだ。世界の2大国が直接話すのだから、世界の平和と安定にとっては重要なことに違いないが、心穏やかではいられない国がいくつかある。

 そのひとつは間違いなく日本だ。安倍首相は米中サミットについて歓迎すると言いながら、「日本と米国は同盟関係」としきりに強調する。尖閣問題について、もっと米国が中国に強い姿勢で出てくれたらいいのに、と思っていても、そうは口に出せない。米国は米国で、領土問題については中立という建前を崩すわけにもいかないから、なかなか煮え切らない。

 かつての米ソ冷戦時代、日本は米国にとって地政学的に重要な位置を占めていた。ソ連の太平洋進出を防ぎ、「封じ込め政策」の要だった。だからこそレーガン・中曽根のときに、「日本は不沈空母」という発言が生まれた。しかし米国と中国は、少なくともまだ冷戦関係にあるわけではない。

 10年あるいは20年のうちに中国が米国を経済規模で追い越すようになると、中国が米国に正面から挑戦する可能性が生まれてくるかもしれない。そのときは、米国にとって日本が再び非常に重要な国になるときだが、それは同時に西太平洋に緊張が走るときでもあるから、日本は喜んでばかりもいられない。しかしそういう時代は必ず来るのだから、そこに向かってどうするかという問題を予習しておかなくてはなるまい。

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