“プロ”はなにをしていたのか? 猪瀬都知事、失言の背景相場英雄の時事日想(1/4 ページ)

» 2013年05月09日 08時00分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『震える牛』(小学館)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『鋼の綻び』(徳間書店)、『血の轍』(幻冬舎)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 先週、猪瀬直樹東京都知事の“失言”が世界的な話題を集めたのは記憶に新しい。五輪招致のライバル都市について、暗に批判したと受け止められる発言を行い、これが海外紙に載ったことが発端だ。

 騒動の詳報とは別に、今回は主要メディアではほとんど扱われていない“黒子”にフォーカスする。黒子とは、五輪を東京に招致するため、広報活動を引き受けているプロのこと。知事の失言の背後には、プロらしからぬ仕事のずさんさが潜んでいたのではないか。

プロが主導した五輪招致

 先に当欄で、五輪招致に関してプロの広報代理店「ウェーバー・シャンドウィック・ワールドワイド社」が請負っていると触れた(関連記事)

 繰り返しになるが、広報代理店のように、広報業務だけを専門に扱う企業は内外にたくさんある。記者対応のほか、イメージ戦略など東京五輪招致を成功させるために徹底してプロの裏方仕事を行うわけだ。先の記事で触れた通り、普段は渋面のイメージが強い猪瀬知事がにこやかに記者対応する場面が増えたのは、間違いなく同社のレクが効いていた、と私はみる。

猪瀬都知事はなぜ“失言”をしたのか(写真はイメージです)
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