電子書籍にすれば、そんな泥臭いことしなくてもいいじゃないか。そんな声も聞こえてきそうだ。しかし、あくまでも私見だが、現状、日本では各種の規格が乱立気味で、米国のように一気に電子書籍が普及するとは考えていない(実際問題として、電書の印税では現状、とても食っていけない)。漫画でも小説にしても、作家のほかに多くの人が携わってヒット作を生み出しているのは明白な事実なのだ。
「仕掛け」のエピソードは、疲弊する出版界がもがく姿であり、かなり泥臭い部分だ。だが、誤解を恐れずに言えば、「泥臭くていいじゃないか」というのが私の意見。と同時に、本書の一番の魅力なのだ。
ちなみに、担当編集者である山内菜緒子氏によれば、同作は無事に「重版出来」となった。もっとたくさんの読者に読まれてもいい作品であることは間違いない。
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