ローカル路線を巡って近鉄と四日市市が泥沼の対立、決断はこの夏杉山淳一の時事日想(1/6 ページ)

» 2013年03月15日 08時01分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)

1967年東京都生まれ。信州大学経済学部卒。1989年アスキー入社、パソコン雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年にフリーライターとなる。PCゲーム、PCのカタログ、フリーソフトウェア、鉄道趣味、ファストフード分野で活動中。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。2008年より工学院大学情報学部情報デザイン学科非常勤講師。著書として『知れば知るほど面白い鉄道雑学157』『A列車で行こう9 公式ガイドブック』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」、Twitterアカウント:@Skywave_JP、誠Styleで「杉山淳一の +R Style」を連載している。


 鉄道路線の収支が悪化すると、鉄道会社はなんとかして立て直そうとする。それでも自力再建が不可能と判断した場合は、自治体に支援を求める。民間企業でありながら、困ったら自治体に助けを乞う。その理由は「鉄道が公共性の高い交通事業だから」だ。さて、地方自治体は企業から見捨てられた鉄道路線にどう対応すればいいのだろう。

 この夏、近鉄内部線(きんてつうつべせん)、八王子線の運命が決まる。BRT(Bus Rapid Transit:バス専用道路を使った交通システム)に転換するか、近鉄から切り離すか。地元の四日市市は鉄道による存続を求め、BRTへの転換は認められないという。このままでは、この路線は近鉄から見捨てられ、四日市市はお金がないから引き受けない。最悪の場合は路線廃止となるかもしれない。これは四日市市だけではなく、ローカル鉄道を抱える都市に共通する問題だろう。

近鉄内部線・八王子線の四日市駅は高架化から取り残されている
近鉄内部線・八王子線の位置(出典:Google マップ)
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