事実上の“足あと”復活――mixiの考える「ユーザーファースト」とは何かなぜこのタイミングで?(1/5 ページ)

» 2013年02月01日 20時00分 公開
[吉岡綾乃,Business Media 誠]

 2012年11月から12月にかけて、国産老舗SNS「mixi」で、立て続けに機能改善が行われていたのをご存じだろうか。mixiボイス(つぶやき)保存期間が30日から無期限に延長、運営が出す「お題」に答える形でmixiボイスに投稿できる「つぶやきのネタ」機能を提供開始、日記の保存容量の増量、日記投稿時の画面遷移の変更とプレビュー確認機能の追加、「mixiプレミアム」日記検索機能がスマートフォンに対応、スマートフォン版mixiメッセージの表示形式変更……と、ここでは書ききれないほどの機能改善&新機能追加が行われている。

 これらの機能改善は、文字に書き出すとやや分かりにくいが、ほとんどはユーザーが日ごろmixiを使っていて「ここが使いづらい」と思うポイントを改善するものばかりだ。一時期のmixiは、新機能がリリースされるたびにユーザーから「こんな機能は使わない」「自分には関係ない」「改悪だ」と厳しい声が上がることが多かったが、筆者の見ている範囲では、11月以降の最近の機能改善については「便利になった」「これいいね」といったポジティブな反応が多いようだ。

 こうした一連の機能変更の中でも最大のものが、先週、1月22日に始まった「訪問者」のリアルタイム表示化である。mixiには自分のページ(日記やプロフィールページなど)を誰が見に来たかを一定期間後に表示する訪問者という機能があり、22日からはこれがリアルタイムで表示されるようになった。これは、2011年に廃止されたmixiオリジナルの機能「足あと」の事実上の復活と言っていい(参照記事)

mixi「訪問者」表示。自分のページを誰がいつ見に来たかを確認できる。左がPC版、右がスマートフォン版の表示

 実は足あと機能は、mixiを特徴付ける機能であったと同時に、好き嫌いがハッキリ分かれる機能でもあった。足あと機能をやめ、訪問者機能にリニューアルしたときには、mixiユーザーから大きな反発があり、1万7000人以上の署名を集める大規模な反対運動まで起こったほどだ。コミュニティに参加したり署名をしたりはしないまでも、この騒動のあとにmixiを離れたユーザーは多い。

 そこまでの犠牲を払って一度廃止した足あと機能を、なぜ復活させたのか。しかもなぜこのタイミングで? と不思議に思う人も多いのではないだろうか。今回の訪問者リアルタイム化に至る数々の変更はなぜ行われているのか、そしてmixiはこれから、どのような方向に向かっていくのか? 本記事ではそれを、昨年秋に行われた「mixiユーザーファーストウィーク」というイベントの様子を元に考察していく。

大幅な体制変更と「ユーザーファースト」

 2012年の8月、ミクシィ社内では組織を大幅に変更、ユニット制を採用した。目的は、ユーザーの声をスピーディーにサービスに反映するためだ。「ボイス」「日記」「コミュニティ」といった機能ごとにチーム(ユニット)を分け、各チームで高速に意思決定・開発を行い、サービスに反映していく体制を整えてきた。各チームのメンバーは4~5人と少人数で、リーダーは20代を中心とする若い社員がつとめている。

 最近の機能改善や新機能追加、仕様変更は、いずれもこの新体制下で行われているものだ。これらに通底しているのは「ユーザーファースト」(参照リンク)という、2012年8月以来新体制のmixiが発信しているコンセプトである。

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