日本の強みを生かせ、スマートテレビはチャンスだぞ中村伊知哉のもういっぺんイってみな!(1/2 ページ)

» 2013年01月03日 00時00分 公開
[中村伊知哉,@IT]

中村伊知哉(なかむら・いちや)氏のプロフィール:

慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授。京都大学経済学部卒業。慶應義塾大学博士(政策・メディア)。デジタル教科書教材協議会副会長、 デジタルサイネージコンソーシアム理事長、NPO法人CANVAS副理事長、融合研究所代表理事などを兼務。内閣官房知的財産戦略本部、総務省、文部科学省、経済産業省などの委員を務める。1984年、ロックバンド「少年ナイフ」のディレクターを経て郵政省入省。通信・放送融合政策、インターネット政策などを担当。1988年MITメディアラボ客員教授。2002年スタンフォード日本センター研究所長を経て現職。

著書に『デジタル教科書革命』(ソフトバンククリエイティブ、共著)、『デジタルサイネージ戦略』(アスキー・メディアワークス、共著)、『デジタルサイネージ革命』(朝日新聞出版、共著)など。

中村伊知哉氏のWebサイト:http://www.ichiya.org/jpn/、Twitterアカウント:@ichiyanakamura


※編集部注:本記事は2012年12月11日に@IT「中村伊知哉のもういっぺんイってみな!」で掲載された記事を転載したものです。

 スマートテレビ。スマテレ。勝手に縮めてみた。テレビもスマート、なんだと。米国からGoogle TVやApple TVがやってくる。米テレビ局の映像配信Huluも上陸している。もちろん、日本だって手を打っている。

 NHKはテレビとタブレットなどダブルスクリーンでテレビ番組とヒモ付き情報を連動させる「ハイブリッドキャスト」という提案をしている。

 高橋大輔さんが舞うシーンをテレビで観ながら、タブレットで足下アップの指示や再生のコマンドを与えてネット映像を見る。旅番組をテレビで観ながら、その地図をタブレットで確かめる。サッカー中継中、選手たちのフォーメーションがタブレット上にリアルタイムで示される。同じ画面がテレビ上にもオーバーレイされる。これらデータはネットによる配信だ。

 在阪テレビ5局が連携した「マルチスクリーン型放送研究会」も、スマホなどセカンド端末での放送連動サービスを実験している。「女子アナ解放区サワリや」(!)では、テレビを見つつタブレットで女子アナを触ってアップにしたり、ユーザー投票で女子力を競ったり。コテコテの日本型スマート・コンテンツだ。

 フジテレビの「メディアトリガー」は、スマホやタブレットをセカンドスクリーンにして、テレビ番組と通信コンテンツを同期させる。日本テレビ「JoinTV」は、データ放送を活用して同じ番組を観ているFacebook上の友だちがTV画面上に現れる。

 いろいろある。スマテレのイメージはまだハッキリしない。大画面テレビにネット情報をかぶせる。ビデオオンデマンドを通信経由でテレビ端末で観られるようにする。タブレット端末で番組を観られるようにする。テレビ画面とスマホでのソーシャルサービスとを連動させる。いろいろある。そういうモヤモヤした新しい端末+ネット+ソーシャルの最小公倍数、それがスマートだというわけだ。

 黒船来港だと騒ぐ向きもある。が、逆じゃないか。これはチャンスだぞ、と。アメリカとは違う、日本の強み、特性を生かせるんじゃないか、と。理由は、1.メディア環境、2.ユーザー力、3.産業構造の3ポイントだ。

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