衆議院総選挙では何が問われているのか?藤田正美の時事日想(1/2 ページ)

» 2012年12月10日 08時00分 公開
[藤田正美,Business Media 誠]

著者プロフィール:藤田正美

「ニューズウィーク日本版」元編集長。東京大学経済学部卒業後、「週刊東洋経済」の記者・編集者として14年間の経験を積む。1985年に「よりグローバルな視点」を求めて「ニューズウィーク日本版」創刊プロジェクトに参加。1994年〜2000年に同誌編集長、2001年〜2004年3月に同誌編集主幹を勤める。2004年4月からはフリーランスとして、インターネットを中心にコラムを執筆するほか、テレビにコメンテーターとして出演。ブログ「藤田正美の世の中まるごと“Observer”


 次の日曜日は投票日だ。焦点は、自民党が単独でも過半数を制するのか、それとも自公でも過半数には届かないのか、民主党はいったいどこまで減るのかというところにある。

 何せ態度を決めかねている有権者がまだ3割以上もいるのだから、最後の最後まで気を抜けない戦いである。新聞の情勢分析で自民党が単独でも過半数という予測が出たために、党執行部は党内の引き締めに必死だ。安倍総裁などは自民党自身の調査ではそんなに行かないという結果が出ているとさえ語った。

 有権者にとっては悩ましい選挙だ。「自民党に戻していいのか」と言われれば、それもそうだと思うし、民主党に任せておくのは不安であるという実感は多くの人が持っている。民主党で一番の問題は、党内ガバナンスだったということは、このコラムでも何回か指摘したが、もう一つの大きな問題は、4年で16兆8000億円という財源をひねり出すことがなぜできなかったのかについて説明がないことだと思う。

 政権についたことがないのだから、細かいところまでよく分からなかったと言えばその通りかもしれないが、それならそれで有権者に対して謝らなければなるまい。そして財源が見つからないままに、史上最大の予算を続ければ(もちろん東日本大震災という不幸はあったが)、財政赤字がどんどんふくらむことは目に見えていた。どこを節約しどこを増やすか、予算の組み替えをすればすぐにできると言ったのは誰だったのか。

 ある民主党前議員は、「方向性はいいと思う」と語った。もしそうだとすれば、なぜあれだけ300人以上の議席がなぜ過半数ぎりぎりまで減ってしまったのか。その候補者は、教育に力を入れるとか、コンクリートから人へということを言ったのだが、それが党内で説得力を持ち得なかったことをどう考えるのか。残念ながら、選挙前の忙しい時でもあり、そこまで問いただすことはできなかったが、選挙が終わったらぜひ聞いてみたいと思う。

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