Windows 8総責任者が辞任。マイクロソフトに今、何が起きているのか(1/4 ページ)

» 2012年11月15日 08時00分 公開
[本田雅一,Business Media 誠]
10月26日には機嫌よく「Surface」を発表していたシノフスキー氏

 あまりにも唐突なニュースだった。マイクロソフトにとって小さからぬ躓きとなったWindows Vistaを改善し、Windows 7で基本ソフトの事業を持ち直した立役者であるスティーブン・シノフスキーがマイクロソフトを突然、退社したのである(参照記事)。シノフスキーはWindows事業のプレジデントの役職にあり、先日出荷されたばかりのWindows 8、ここ数年の改良が著しいオンラインサービスWindows Liveに関し、マーケティングと開発、両方の総責任者となっていた。

シノフスキー氏の後任となった、ラーソン=グリーン氏

 この唐突な人事で新たにWindows部門プレジデントに就任したのは、開発畑出身のジュリー・ラーソン=グリーン。彼女はシノフスキーの業務のうち、マーケティングを除く分野(主に開発)を担当。マーケティング担当にはマイクロソフトがかつて買収したダイナミクス出身のタミー・リーラーが就く。リーラーはエグゼクティブのアシスタントとして実力を発揮し、マーケティング担当、責任者と出世した叩き上げの実力者だ。

 Windows 8は、Windowsブランドの存在感低下に悩むマイクロソフトが、今という時代に合わせ、リスクを冒して新しいビジネス基盤として作り出したものだ。その責任者が、製品の出荷直後に辞任するのは異例のこと。過去にWindows Vistaの開発責任者だったジム・オールチンが出荷後、退社したケースがあったが、これはVistaの開発中から決まったことだった。しかし、今回はまったく事情が異なる。

 表向きの理由として、彼は「個人的な理由」で職を離れるとしているが、マイクロソフト周辺でその言葉を信じるものはいない。マイクロソフトに何が起きているのか、その背景を探ってみた。

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