面接官は「3秒ルール」を持っている就職は3秒で決まる。(1/3 ページ)

» 2012年10月19日 18時50分 公開
[荒木亨二(荒木News Consulting),Business Media 誠]

連載「就職は3秒で決まる。」について

 この連載は誠ブログの人気エントリーから誕生した書籍『就職は3秒で決まる。』の一部を抜粋、編集したものです。就活の最大の問題点は「ビジネスマンが就活・仕事に関して、本音で語ってこなかったこと」。例えば、多くの面接官が採用する「3秒ルール」は、面接官が語りたがらない本音です。いわゆる面接対策本のような小手先のテクニックではなく、面接時の心構えや失敗のない仕事の選び方など、メンタル面を中心に斬新かつ大胆に提言しています。就活のプロではないからこそ書ける「リアルな本音」を綴ったのが『就職は3秒で決まる。』なのです。


筆者紹介:荒木亨二(あらき・こうじ)

 1971年、千葉県生まれ。ビジネスコンサルタント&執筆業。荒木News Consulting代表。早稲田大学で心理学を学び、帝人株式会社に入社。半年で退職。その後PR会社で働きながら独自のマーケティング理論を確立、28歳でフリーランスとして独立。以降、マーケティングリポートの執筆、セールスプロモーションのプランニング、PRコンサル、新規事業の企画開発、農業ビジネス主宰など、業界をまたいで様々なビジネスを手掛ける。

 学生時代は就職氷河期第1世代として就活を体験。独自の就活スタイルを武器に、面接の突破率は9割以上を誇る。このとき、就活にまつわる「ヒジョーシキな常識」に疑問を持ち、以降、ビジネスコンサルタント業の傍ら就活に関する取材を行う。著書『名刺は99枚しか残さない』(メディアファクトリー)


 「面接は3秒で決まる」ことは、前回述べた通りである。就活生がどれほど準備をしようと、笑顔をふりまこうと、面接は第一印象で決まってしまう。

 これぞ就活最大の秘密にして、面接官が語りたがらない“本音のなかの本音”と言えよう。ということは、その後の面接にいったい何の意味があるのだろうか。就活生が準備してきたアピールは、面接官にとっては馬の耳に念仏なのか。

第一印象は、人間の優れた能力のひとつ

 まずは、面接が3秒で決まる仕組みを明らかにしよう。人間なら誰しも、初対面の人と会った瞬間に「好き」とか「嫌い」とか「優しそう」「怖そう」といった感情を抱くだろう。いわゆる第一印象と呼ばれるものだ。顔つきや全体的なイメージから、何となく相手を判断する。正しいのか間違っているのかは分からない、あやふやな判断だ。

 実はこの第一印象こそが、そのまま面接官の「採用基準」になる。神聖なる就活の面接が、そんないい加減な基準で良いのか? 善し悪しは別にして、人間が抱く第一印象の正当性は、心理学で実証済みである。

 「第一印象とは、人間が備えるもっとも優れた能力のひとつ」。人間は本能というチカラを幾つか持っているが、なかでも第一印象は、群を抜いて素晴らしい。簡単に言えば「第一印象はほぼ間違いなく正しい」という学説。例えば、第一印象で「良い」と思った相手に対しては、時間が経過しても「良い」イメージは変わらない。反対に第一印象が「悪い」と、その後も「悪い」イメージが続くという。要するに「最初の判断」が決定的となり、それが後々も人間のココロを支配するというわけだ。

 注釈を加えておきたいのは、第一印象が正確か否かは別問題ということ。例えば、詐欺師と知らずに「誠実そう」と感じた第一印象は、その事実を知った後でも「誠実そう」というイメージはなかなか消えない。本来は詐欺師=悪人だから、結果的には、第一印象は間違い。けれども、その第一印象によって抱いたイメージそのものはその後も変わりづらいため「第一印象は正しい」という結論になる。

 第一印象を形成するのに要する時間は、およそ3秒。最新の心理学実験によれば2秒に縮まったという学説もあるが、ともあれこの「3秒」と「個人的な判断」が、面接官の決定的な採用基準となる。これを本書では「3秒ルール」と名付ける。そして、多くの面接官はこのルールに従い、粛々と就活生の面接を行い、合否を決する。

 そもそも面接官の判断、すなわち第一印象が正しいか否かはまったく分からない。しかし「人が人を判断する」のが面接である以上、人間の優れた本能から誰も逃れることはできない。こんな理由から、面接官は3秒ルールを「合理的な面接手法」と考える。就活生にはあたかも博打のように映るかもしれないが、これが就活の常識なのである。

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