「しかし、所詮実績など作れないで話はコロコロ変わるばかり。そこで私はヤミ金をあきらめ、その代わりに手持ちのカネでやれるよう従業員も事業規模も一挙に縮小、なんとか急場を凌いだ。今はなじみ客の庭の植栽で細々と食べている」。
そしてCは、怒りを込めて、こう語った。
「一度、それまで気軽に借りていたノンバンクの社長と話したが、年利39%が貸し手の事業が成立する採算ラインだという。私らも、そんな金利で借りても仕事が動きカネが入ってくれば高いとは思わない、ありがたいの一言。それを貸せないよう、借りられないようしている法律改正はホント無茶苦茶おかしい。返せないで強硬に取り立てに遭う人たちが被害者というよりも、私らのように借りてきちんと返していた人たちが、法律改正で大きな被害を被っているのですよ。仕事はおカネさえ借りられればいくらでもあるのに、それができない。日本経済のパイを縮小させ雇用も鈍らせているのは誰なのか、ですよ」。
現実を無視した法律改正論に中小零細企業がどれほど悲鳴を上げているか、その声はストレートに届いていない。
(つづきは書籍でお楽しみください)
増原義剛(ますはら・よしたけ)
1969年東大法学部卒業 大蔵省(現財務省)に入省。東海財務局長を経て退官。2000年衆議院議員に初当選(2009年まで3回当選)。以後、自由民主党においては税制調査会幹事、財務金融部会長代理、金融調査会小委員長等、政府においては総務大臣政務官、内閣府副大臣の要職を務める。2006年には、自民党政務調査会・金融調査会「貸金業制度等に関する小委員会」の委員長として、改正貸金業法の立法に携わった。現在は広島経済大学教授。
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