脚本大国の米国では、作品のクレジットに関しても敏感である。誰がオリジナルのストーリーを書いたのか、誰が最後に書き上げたのかなどが次の「脚本のクレジット例」にあるようにクレジットを見るだけで分かるようになっている。
ちなみに、クレジットの最高ランクは何といっても「Written by」だろう。脚本家なら一度は欲しいクレジットだろうが、前述の2011年の劇場アニメの例を見ても分かる通り、至難の業である。
その点、日本の場合は1人でシナリオを書き上げる場合が多く、まさに「Written by」ではあるのだが、長年の慣習や予算の制約によってそうなっているというのが実情である。「もし複数でシナリオを書く余裕があるなら、かなりレベルアップするのでは」という推測は、故・黒澤明監督の脚本執筆の過程を考えれば容易に想像できることである(黒澤監督は数人の脚本家と一緒に旅館にこもり、時間をかけて脚本を執筆していた)。
いずれにせよ、最近日本でもオリジナルのアニメ作品が増えているので、誰がオリジナルストーリーを考えたのか分かるようなクレジットにしてほしいと思うところである。
1954年生まれ。法政大学卒業後、音楽を始めとして、出版、アニメなど多岐に渡るコンテンツビジネスを経験。ビデオマーケット取締役、映画専門大学院大学専任教授、日本動画協会データベースワーキング座長。著書に『アニメビジネスがわかる』(NTT出版)、『もっとわかるアニメビジネス』(NTT出版)、『アニメ産業レポート』(編集・共同執筆、2009〜2011年、日本動画協会データーベースワーキング)などがある。
ブログ:「アニメビジネスがわかる」
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