35度を超えると厳しい? 関電管内の電力需給誠 Weekly Access Top10(2012年6月30日〜7月6日)

» 2012年07月13日 12時20分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「「ケンタッキー“食べ放題”、損得を検証した」。2位は「“嫌儲”の人、“好儲”の人」、3位は「1位の千葉県印西市ってどんな所? 全国住みやすい街ベスト50」だった。

高温時の節電が続くかどうかがポイント

 電力最需要期の夏を迎えて、7月2日から全国各地で節電要請が行われている。特に原発依存度が高かった関西電力管内では2010年比15%減の節電目標が課されることとなった。しかし、それだけでは厳しいということで、大飯原子力発電所が再稼働し、その結果、節電目標は7月10日から10%減に引き下げられたが、実際の電力需要はどうなっているのだろうか。

 まず、次の図はMU投資顧問が作成した、2010年、2011年の関西電力管内の日最大電力需要と大阪の最高気温の関係を示したものである。傾向として、比例関係にあることが分かるだろう。

関西電力管内の日最大電力需要と大阪の最高気温の関係(今夏の供給見通しとあるのは2011年夏のことである、出典:MU投資顧問)

 産経新聞によると、7月第2週の関西電力の供給可能最大電力は大飯原子力発電所の再稼働を計算に入れても2450万キロワット前後(再稼働なしなら2330万キロワット前後)。関西電力の8月の見通しでは、供給可能最大電力は2542万キロワット(再稼働を計算に入れるなら2660万キロワット)ということである。

 2010年の日最大電力需要は「2010+90*(大阪の最高気温−25)」万キロワット(図の赤線)、2011年の日最大電力需要は「2030+70*(大阪の最高気温−25)」万キロワット(図の青線)とおおまかに計算できたのだが、これだと最高気温が30度を超えると危険水域に入ってくるわけである。

 それではまずいということで、節電目標が課されているのだが、その結果、日最大電力需要はどうなっているのか。節電要請が行われた7月2日以降のデータはまだ多くないのだが、平日の日最大電力需要の推移が次表である。

大阪の最高気温と日最大電力需要の関係

日にち 大阪の最高気温(度) 日最大電力需要(万キロワット) 備考
7月2日 26.4 2098 15%減の節電要請開始
7月3日 30.9 2040
7月4日 26 2077
7月5日 29.6 2055
7月6日 25.4 2148
7月9日 32.3 2114
7月10日 32.2 2208 10%減に節電目標引き下げ
7月11日 30.7 2180
7月12日 29.7 2234

 過去のデータのように、日最大電力需要が大阪の最高気温とあまり比例していないように見える。特に高温時に節電が効いているように見えるのだが、節電目標が引き下げられた7月10日から日最大電力需要が結構増えているのが気になるところである。

 もし、大阪の最高気温と日最大電力需要の関係が例年と同じで、今年は2010年より10%節電するなら、日最大電力需要は「1809+81*(大阪の最高気温−25)」万キロワットと計算できる。これだと大阪の最高気温が33度で、日最大電力需要2457万キロワットと、現状の供給可能最大電力を上回ってしまう。

 ちなみに15%の節電だと日最大電力需要は「1725+76*(大阪の最高気温−25)」万キロワットと計算できるのだが、この場合でも大阪の最高気温が35度で、日最大電力需要は2485万キロワットと現状の供給可能最大電力を上回ってくる。机上の計算だが、正直、節電目標を急いで引き下げて良かったのだろうかという気がしないでもない。

 ただ、産経新聞が報じた時よりも供給可能最大電力も順次引き上げられてきて、7月13日は2645万キロワット(再稼働なしなら2527万キロワット)となっているのだが、上振れすると危険水域に入る。先ほどの10%節電の際の式を使うと、大阪の最高気温が35.5度で、日最大電力需要が、関西電力の再稼働込みの8月の供給可能最大電力である2660万キロワットと一致してくる。

 気象庁の統計を見ると、2011年7〜8月に最高気温が35度を超えた日は5日間、猛暑だった2010年は24日間ある。特に高温時に節電できている現在までの傾向が、今後も続くのかどうか注目されるところである。

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