高橋容疑者捜査中継、ゲーム配信……個人も生放送で生計を立てられる?誠 Weekly Access Top10(2012年6月2日〜6月8日)

» 2012年06月15日 03時15分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「金太郎あめ”車両が、増えた理由」。2位は「独身者に聞く、結婚生活に必要な世帯年収」、3位は「NHKが、火災ホテルを『ラブホテル』と報じない理由」だった。

個人の生放送で生計は立てられる?

 オウム真理教の元信者、菊地直子容疑者の逮捕で、行方に注目が集まっている高橋克也容疑者。6月8日に掲載した「川崎で“オウム高橋”懸賞金フィーバー! マル暴も行方追う」では一部の川崎市民が探偵のようになっている様子を描いているが、今日未明、その川崎市でちょっとした騒ぎがあった。

 産経新聞によると、高橋容疑者が川崎市内のマンションに潜伏しているという情報から、警視庁築地署捜査本部がそのマンションを捜索したのである。結局、高橋容疑者は見つからなかったのだが※、その様子を現場から中継した可能性があるUST放送が次の画像である。

※その後、この放送の場所から離れた東京都大田区の漫画喫茶で高橋容疑者の身柄が確保され、逮捕された(参照リンク)。
4万人を超えたUST生放送

 マンション周辺に野次馬が集まっていたことから、ある個人が放送を始めたようで、放送は途切れながら3回に分けて行われたのだが、驚いたのは同時視聴数。1回目の放送が途切れる寸前には4万人を超えていた。特に同時視聴数がものすごい伸びで、筆者が見始めた0時20分ごろは1万5000人ほどだったのが、それから15分ほどで4万人ほどまで増えたのである。

 放送のタイトルがフライングで「高橋容疑者 これから逮捕 川崎」と刺激的になっていたことも影響したようだが、恐らくソーシャルメディアのみでこれだけの視聴者を短時間で集めたのはビックリである。ニコニコ生放送の人気番組でもこうはいかないだろう。

視聴数の伸び(筆者が直接確認できた分のみ)

時間 同時視聴数 合計視聴数
1番組目 23:24 配信開始
0:32 35000 87000
0:35 40000 100000
2番組目 0:35 配信開始
0:45 15000 21000
0:47 20000 31000
3番組目 0:47 配信開始
0:52 10000 12000
0:53 15000 19000
0:56 20000 33000
0:58 配信終了

 最近筆者は『Diablo III』というPCゲームで遊んでいるのだが、このゲームでは動画配信が黙認されている。そのため、さまざまな動画サイトに多くの配信者がいるのだが、中でも人気のKungen氏の生放送を見ると、ゲームが発売されてからの1カ月で寄付を375ドル集めている。国によっては十分1カ月生活できる金額である。

1カ月で375.04ドルの寄付を集めたKungen氏の生放送

 これまでもYouTubeの動画投稿で多額の広告収入を得ていた人は少なくなかったのが、誰でも見られる形での生放送でマネタイズを考える場合、どうしても集客がネックとなる。だが、冒頭のUST中継だと4万人の同時視聴数の1%が100円寄付するだけで、Kungen氏以上の金額を集められることになるのだ(もちろん全国的に注目を集めている出来事で、地上波が中継していないという今回の状況はかなり特殊である上、結果的に誤報を流すこととなった放送者に寄付する人も少ないだろうが)。

 昨年起こった原発事故関連では、いくつかの団体や個人が寄付を集めながら生放送を行っていた。筆者はそれは原発事故という特別な出来事だから成立することだと思っていたのだが、こういう2つの現象を見ていると、もっとほかのことでも個人で何かを追いかけて、有料会員だけが見られるというのではなく誰でも見られる形で生放送していくことで、寄付で生計を立てていくことも可能になっているんじゃないのかなと感じた次第である。

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