“嫌儲”の人、“好儲”の人ちきりんの“社会派”で行こう!(1/2 ページ)

» 2012年06月11日 08時00分 公開
[ちきりん,Chikirinの日記]

「ちきりんの“社会派”で行こう!」とは?

はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。

※本記事は、「Chikirinの日記」において、2010年4月20日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。


 ネット上でよく聞く“嫌儲”という言葉。どう発音するのかもよく分からないのですが、こういった新語を考え出す人のセンスにはいつも感心します。これは文字通り“儲けることを嫌う”感情や、そういった思想、性向の人を指す言葉で、特に“ネット上で儲けることを嫌うこと”に特徴があります。

 彼らは、トヨタ自動車やユニクロが自動車や洋服を売って利益を上げることを嫌うのではなく、無料でブログサービスを提供していた会社がサービスの一部有料化に踏み切ったり、人気の出た個人ブログが広告掲載を始めたりすることに対して、批判したり嫌みを言ったりします。

 それは「自分も貢献したコンテンツなのだから、こっちにも分け前をよこせ」という主張でさえなく、単に「自分とは無関係の誰かが儲けること自体を嫌う」といった態度であり、まさに“嫌儲”と言えます。

 私には、ネット上のサービスを無料で利用し、その恩恵を享受してきた人が、広告掲載や一部有料化を批判する理屈はよく分かりません。その上、そのサービスがマネタイズに失敗し、経済的に立ちゆかず閉鎖することになった際、「突然やめるなんて無責任」と言い出すこともあるのも、理解の範疇(はんちゅう)を超えています。

“好儲”の人たち

 私がこの“嫌儲”という言葉を聞いてつくづく感じるのは、「そういえば、ちきりんの周りの人はみんなやたらと“好儲”だよね」ということです。

 私の友人や知人は、飲みに行ってもすぐに「この店はこうやったらもっと儲かる」などと言い出すし、中には店の損益計算を始める人もいます。投資をしている人も多いし、自分のブログでもないのに「ちきりんブログなら、こうやったらこれだけ儲かる」といった助言をくれます。

 彼らはみな喜々として「儲ける仕組み」について語るし、私自身も同じで、そういう話をするのはとても楽しいです。過去にもオンライン英会話について紹介したり試し履きできるオンライン靴店のjavariの体験エントリを書いたりしましたが、そうした新しい仕組みのビジネスが出てくると心からワクワクします。

 また最近は周囲でも、起業してビジネスを始める人や、転職先としてスタートアップや伸び盛りのベンチャーを選ぶ人が増えてきました。長く自営業をしている友人も、この不況の中「ますます儲かり始めた!」と福々しい笑顔で、一緒に遊んでいると私までご利益がありそうに思えます。

 その上、私自身も今は「働かない生活を謳歌!」とか言っているのですが、その一方で、何かアイデアが浮かぶたび、無意識に「こんなビジネスを始めたら儲かるんじゃないか?」などと考え始めてしまう体たらく(?)です。

 自分がいつからこうなのかは分かりませんが、「儲けるのが嫌い」なら、金融業界で働いたり、ビジネススクールに行ったりすることもなかったでしょうから、かなり前から「儲けるのが大好き」だったはずです。

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