ガンダムビジネスを取り仕切るバンダイナムコホールディングスの海外売上の推移を見ると、2008年3月期をピークに下降、2012年3月期にはほぼ3分の2となっている。グループ全体の売上は2010年3月期を底にV字回復しているが、海外に関しては回復しないままだ。
アニュアルレポートによると、全体売上の回復要因は国内需要にあり、海外のマイナス分を国内売上がカバーしているということだ。このような状況下、海外のガンダムビジネスはどうなっているのか。
アニュアルレポートでは、海外事業の立て直しについて「特に欧米市場でのトイホビー事業とコンテンツ事業の取り組み強化が必要だと考えています」と記述。トイホビー事業では「主力キャラクターである『Power Rangers』の立て直しを軸に、トイホビー事業の海外における攻めの姿勢を各地域において推し進めていく」とあり、コンテンツ事業では「今後は、家庭用ゲームソフトから、安定収益基盤である業務用ゲーム機や、新たな出口であるSNSなどのネットワークビジネスへの資源投下にシフトする」と述べている。
以上のことから、バンダイナムコの海外事業の主役は『POWER RANGER』(『Thunder Cats』『BEN10』を加えて北米での3本柱としている)やゲームであることがうかがえる。
そして意外なことに、海外事業でガンダムの名前が出てこない。アニュアルレポートに名前は度々登場するのだが、それは国内市場でのガンプラなどのトイホビー商品、ソーシャルゲーム『ガンダムロワイヤル』や『機動戦士ガンダムUC』のビデオパッケージ販売が好調といったもの。要するに、ガンダムのキャラクタービジネスは内需型で、海外での存在感は思ったより大きくないということだ。
それはなぜか? 30年以上の歴史があるガンダムは、海外でもとっくに知られているはずである。知名度やプロモーションが不足しているわけでもないだろう。日本とそれ以外の国々におけるガンダムの受容の違いに理由があるのか。この点について調べてみると、海外のロボットキャラクターの特殊性に突き当たった。
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