スマホの普及&テレビ離れで、戦後最大のメディアイス取りゲームが始まっている遠藤諭の「コンテンツ消費とデジタル」論(1/4 ページ)

» 2012年04月11日 18時29分 公開
[遠藤 諭,アスキー総合研究所]
アスキー総研

「遠藤諭の『コンテンツ消費とデジタル』論」とは?

 アスキー総合研究所所長の遠藤諭氏が、コンテンツ消費とデジタルについてお届けします。本やディスクなど、中身とパッケージが不可分の時代と異なり、ネット時代にはコンテンツは物理的な重さを持たない「0(ゼロ)グラム」なのです。

 本記事は、アスキー総合研究所の所長コラム「0(ゼロ)グラムへようこそ」に2012年4月5日に掲載されたコラムを、加筆修正したものです。遠藤氏の最新コラムはアスキー総合研究所で読むことができます。


 JR山手線に乗っていたら、有楽町のあたりでインド系と日本人の2人連れが乗り込んできた。米国のスマートテレビ業界で注目される企業の1つ「Flingo」のCEOとマネージングディレクターだった。なぜ分かったのかというと、日本人は、わたしが編集長をつとめていた雑誌で何かとお世話になっていたW氏だったからだ。同社は、テレビメーカーに番組アプリや、映像認識やソーシャルテレビのための技術を提供している。

IT業界の話題は、スマートフォンからスマートテレビへ

 いまIT業界の話題は、「スマートフォン」から「スマートテレビ」に広がってきている。本連載でも「テレビに未来がない? ウソだと思う」(参照記事)と題して一度触れたことがある。次世代テレビに関する議論は1990年代から繰り返されてきたが、メーカー、放送局、行政、制作者・出演者、スポンサーなど、関係者が多くてなかなか進んでいない。しかし、音楽もそうだったし、米国では電子書籍が全書籍の売り上げの20%を占めてきているのだ。テレビだけが、こうした波の例外であるとは考えにくい。

 コンピュータ業界では、いつの時代もまず小さなデバイスで変革が起きて、それがより大きなコンピュータに応用され、最後に企業向けシステムにまで浸透する。2007年にiPhoneという小さなデバイスで起こった変革が、タブレットやテレビに広がろうとしているわけだ。

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