もう1つは、取引所に上場せず、投資家同士が相対で契約する「店頭デリバティブ」。ローリスク・ローリターンの商品はもちろん、ハイリスク・ハイリターンの商品まで多種多様な商品があり、契約期間もそれぞれ違う。オリンパスが損失隠しに使い、さらに損失を拡大させたこともあり、「デリバティブは危険」というイメージが一般読者や視聴者、さらには報じる側にも植え付けられてしまったが、要はリスク管理の体制に不備があるか否かであり、デリバティブ自体は危険なものではないのだ。
筆者が想像するに、同投資顧問はこちらの「店頭デリバティブ」で損失を拡大させ続け、顧客資産の「2000億円」を溶かしてしまったのだ。
2000億円を失ったことが最大のニュースであり、同社のずさんなリスク管理体制、そして監督当局の検査の甘さが指弾されるべき対象なのだ。決して「57兆円」という想定元本が問題ではない。
この種の不祥事が発生するたび、しばしば国会などで「デリバティブ規制強化論」が噴き出す。筆者はかつて市況担当記者として10年以上取材を続けてきたが、デリバティブは有力なリスクヘッジ手段であり、適正に管理されていれば通常の金融取引を一層円滑に進めるための潤滑油だと感じた。こうした的外れな報道を機に、またぞろデリバティブは危険だという論調が強まることを強く懸念している。
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