今年日本で注目の「第4のエコカー」、クリーンディーゼルとは?神尾寿の時事日想(1/3 ページ)

» 2012年02月15日 09時14分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

 21世紀のクルマにとって「エコ」は当たり前のものになっている。CO2排出量制限を軸とした環境規制も年々厳しくなる中で、クルマ向けのエコ技術は長足の進歩を遂げた。

 その筆頭が、ハイブリッドカー(HV)であることは間違いないだろう。ガソリンエンジンなど内燃機関と電気モーターを組み合わせたハイブリッドカーは、1997年にトヨタ自動車が投入した初代プリウスから本格的な普及が始まり、今ではトヨタやホンダの主力商品になっている。

電気自動車とプラグインハイブリッド

 2010年代に入ってからは、電気自動車(EV)が注目を浴びている。日産自動車の「リーフ」を始め(参照記事)、自動車メーカー各社はEVの開発に注力しており、テスラモーターズのようなユニークな新興勢力も現れた(参照記事)。一方で、純粋なEVでは航続距離が短く運用性が悪いとして、従来のハイブリッドカーより大容量の電池を搭載し、外部電源からの充電に対応したプラグインハイブリッドカー(PHV)が本命という声もある。PHVはトヨタの「プリウスPHV」やGMの「シボレー ボルト」が発売済みだ。EV/PHVのいずれが本命になるかは現時点では分からないが、外部電源から“充電するクルマ”が、2010年代のトレンドの一つになっていくのは確かだろう。

日産自動車のEV「リーフ」
プラグインハイブリッドは、近距離は電気自動車として、長距離はガソリン車として走れるのが強み(出典:トヨタ自動車)

第3のエコカー

 一方、昨年から日本で「第3のエコカー」として話題になっているのが、ガソリンエンジン(内燃機関)でハイブリッドカー並みの燃費を実現したクルマだ。これはエンジンの小排気量化や変速機など駆動系の高効率化はもちろん、一時停止中にエンジンを自動停止するアイドリングストップ技術の進化、車体軽量化技術や空気抵抗の削減技術の発達など、様々な要素を積み重ねで実現したもの。以前、本連載でも紹介したフォルクスワーゲンの「TSI + DSG」の取り組みなどはその草分けだ。欧州の自動車メーカーでは2000年代を通じて、HVやEVよりも先に内燃機関の効率性向上がエコカー一般化の本命として取り組まれていたのだが、日本ではここ数年で、マツダや軽自動車メーカーのダイハツなどが取り組んだことで、「第3のエコカー」として注目されることになった(参照記事)

マツダは「デミオ」などでSKYACTIVエンジンを採用している
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