転職する前に、すべきこと吉田典史の時事日想(1/4 ページ)

» 2012年01月27日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 今回の時事日想で、私の連載は終了となる。そこで会社員の頃、数え切れないくらい考えたことを紹介したい。

 それは転職しようとする際、どのような情報が必要であるのかといったこと。今の私はこの難問に対し、多少、何かを言えるようになりつつある。

大切な情報は自分自身のこと

 結論から言えば、大切な情報は、会社よりも自分自身のことだと思う。ビジネス書を読むと、会社の「売上や利益」、「業界の事情」などを調べることを説くケースがある。だが、これらは当たり前のことであり、あえて取り上げるまでもないだろう。また、「自分がしたいことを考える」ことを説く人もいるが、これは新卒の時点で終えておくべきではないだろうか。

 会社の「内情」を調べることを説く人もいる。私はこのことを否定はしないが、あまり意味をなさないと考えている。

 「内情」を仮に社内の人間関係、雰囲気、社風、仕事の内容・量、過去の労使紛争などとする。これらの情報は確かに「ないよりはあったほうがいい」のかもしれない。しかし、結局、その人の受け止め方によって違う。1000人いれば、1000通りある。

 受け止め方がそれぞれ違うことは人間関係にしろ、労使紛争にしろ、言えること。これらは数字で示せない。唯一の正解はない。転職を考えるときは、このような情報を集めることに熱心になる必要もないし、ないからといってエントリーをためらう理由もない。

 大切なことは、なぜ今の会社を辞めようとするのか。その実態を押さえ、考えること。例えば、「上司や周囲との人間関係」に悩む場合は、その事実(具体的な経験)を思い起こしたい。この連載で何度か書いてきたが、ビジネスでは「常に自分が正しく、常に相手が悪い」という可能性は低い。転職しようとする際も、これは言えること。

 その意味で、転職は新卒と比べ、「自分自身の問題」である可能性が高いと言える。ところが、多くの人は「相手や周囲の問題」として受け止める。その象徴として耳にするのが、「上司が……」「給与が……」、そして「あそこの会社では……」という文句である。

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