「ステマ」「確定申告」「CES」を識者3人が解説――第4回ビジネステレビ誠やらせはどこまで法律で規制されているの?(1/3 ページ)

» 2012年01月25日 12時00分 公開
[Business Media 誠]

 10月にスタートしたBusiness Media 誠の生放送「ビジネステレビ誠」。第4回となる今回は1月22日(月)21時からUstream恵比寿で1時間放送……する予定だったのですが、その場のノリで30分延長が決定、1時間半お送りしました。

 放送内容は、まず「教えて!ビジネス上のトラブル」。内田・鮫島法律事務所の伊藤雅浩弁護士が昨今ネットを騒がせているステマ問題について法律的な見地からコメントしました。

 そして、「誠 話題の記事」では、弥生の岡本浩一郎社長が確定申告についてクイズを出題。最後の「話題のたまご」ではアスキー総合研究所の遠藤諭所長が登場、先日行われたCES2012で出品されたタブレット型端末について語りました。

ステマは違法?

 最初のコーナー『教えて!ビジネス上のトラブル』では、内田・鮫島事務所の伊藤雅浩弁護士に、ビジネスパーソンが仕事上で出くわす(かもしれない)トラブルについて、法律上の見解を教えていただきます。今回は昨今メディアをにぎわすステマ問題についての質問です。

質問

 うちの会社は飲食店の情報サイトにお店の情報を掲載しています。お客さんを増やすには、その情報サイトでの口コミのレーティングが重要だと聞きまして、アルバイトに、レーティング★5つで口コミを書かせました。

 その結果、平均レーティングが4を超えて、ほくほくしていたのですが、どうやら、そのアルバイトが使っていたユーザーIDからやらせであることがばれてしまったようです。こうした書き込みをしてお客さんを呼び込むことはマーケティングの一環だと思っているのですが、法律的にはどうなんでしょうか?


 伊藤弁護士の回答は「景品表示法の不当表示にあたる可能性がある」。

 景品表示法は、広告表示などにおいて一般消費者に対して実際のものより優良であるとか、有利であるという勘違いをさせてしまうような表示をすることを禁止する法律のこと。広告で「『うちの商品はすべて地鶏を使っています』とうたいながら、実際はそうではない時」「『90%引きで2000円』とうたいながら実際にはいつでも2000円で買える時」などに適用されます。

 一方、景品表示法はサービスを提供する事業者の広告表示について適用されるものなので、通常の消費者が書く「口コミ」については、たとえその内容が間違っていても適用されません。

 ただこのケースの場合、レストランがアルバイトに指示して書かせたものなので、サービス提供者が出す広告表示だと考えられる可能性があり、その内容が実際のサービスより著しく優良、有利だというものであれば不当表示に当たるという見解でした。

 不当表示に当たったとしても、いきなり刑事罰という話はなく、行政規制なので消費者庁などから注意、警告、場合によって措置命令として排除(削除)などが求められることがあり、これに従わないと刑事罰もあり得るということです。

不当表示と認められると、消費者庁Webサイトで公開されるので、そういう点で不利益はこうむる

 飲食店でなくやらせ業者が書き込んでいた場合は、今の法律の枠内では処分の対象はサービス提供者なので、飲食店に処分はあり得ても、やらせ業者を処分することは難しいとのこと。ただ、サービス提供者以外にも「表示内容の決定に関与した事業者」も対象となると広めに判断した裁判例もあるので、やらせ業者が警告を受けることもないとは言えないそうです。

 伊藤弁護士はステマ問題について誠ブログでも「違法?適法? 口コミマーケティング」という記事を書いているので、ぜひご覧ください。

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