さて、本題である。
筆者が最近注目したのは、1月8日の朝日新聞社会部の記事。見出しは『東電、10議員を「厚遇」 パーティー券を多額購入(参照リンク)』
記事の中身は以下のようなものだ。
東電が電力業界での重要度を査定したうえで、与野党重鎮議員のパーティー券を購入していた、というもの。
朝日新聞の取材によれば、東電はパーティー券購入に際し、政治資金収支報告書への記載義務がない20万円以下に抑えていた、という。
筆者はこの種の調査報道が好きだ。もちろん、取材チームの成果には最大限の敬意を表する。ただ、元マスコミ業界に身を置いたものとして、この記事を読んだあと、先の元上司の言葉が鮮明に蘇ってきたのだ。
東電など電力会社を担当する記者クラブがある。「エネルギー記者会」がそれに当たる。福島第一原発事故以降、東電の会見中継でしばしば槍玉にあがる存在でもある。
日本の新聞、テレビの経済部に所属した記者の大半は、先に触れたように多かれ少なかれ企業からの接待を受ける。だが、筆者が知り得る限り、エネルギー記者会は“別格”なのだ。
筆者は同記者会に所属したことがない。加えて、正確な資料を持ち合わせていないので、ここからは伝聞も交えての記述になることをご了解いただきたい。
筆者が知る先輩記者のことだ。エネルギー記者会に所属した経験を持つ先輩はゴルフ好きだった。大学のゴルフ部出身の猛者であり、プライベートでも頻繁にゴルフ場に通っていた。
短期間ではあるが、この人物とたまたま社宅で一緒になる時期があった。先輩記者がゴルフに行くときは、必ず社宅の前に黒塗りのハイヤーが待機していた。もちろん、通信社の取材用車両ではなく、ある電力会社が雇った車両だ。
ゴルフ場への“足”やプレーフィーの提供は、なにもエネルギー記者会で会見を開く企業だけでなく、金融記者クラブでも同様の事柄はあった。だが、この電力会社が使うゴルフ場は、「格が違う」というのが先輩記者のこだわりだったのだ。
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