橋下徹氏と既存メディア離れの関係相場英雄の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年12月08日 08時02分 公開
[相場英雄,Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『双子の悪魔 』(幻冬舎文庫)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 「新聞社の皆さんへ」――。

 11月30日、Twitterのタイムライン上に冒頭のようなメッセージが現れた。発信者は大阪市長選挙に当選したばかりの橋下徹氏。短い文章の中で、彼は重要なキーワードをメディア界に投げかけた。橋下氏のツイートは、記者の取材プロセスまでをもTwitterというひとつの情報ソースが可視化してしまったのだ。

発信者自体が“メディア”

 新聞社の皆さんへ。現在、皆さんの取材を受けていない僕の責任でもありますが、維新関係者が発言したことと、僕が方針決定したことをごっちゃにして報道されています。産経で地下鉄の民営化案が早速披露されていましたが、それは僕の方針ではありません。案は、行政的に専門家が詰めなければなりません

 これは冒頭に触れた橋下氏のTwitterでの発言だ。

 大差で大阪市長選挙に当選した橋下氏を巡っては、同氏本人、あるいは大阪維新の会など周辺幹部に対しても、主要メディア間で取材合戦が繰り広げられたのは間違いない。

 橋下氏の歯に衣着せぬ発言は、前職の大阪府知事時代から新聞やテレビにとっては格好の素材だった。加えて、今回の市長選挙では、彼が下馬評の劣勢を巻き返しただけに、選挙後はメディア各社が一斉に“新市長の次の一手”を追ったのは想像に難くない。

 先のツイートに続き、彼は読売新聞や毎日新聞に対しても「僕の方針ではありません」と指摘し、次のように一連の主要報道を統括した。

 就任前の今の段階では、僕が話したこと以外は、それは維新関係者の話です。また僕は意思決定、機関決定にこだわりますので、区長格上げ案も、市長就任後、正式に機関決定していきます。市役所の意思決定システムも抜本的に改めますが、全ては府庁でやってきたことを踏襲します。

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