ドイツ人が、日本に興味を抱くワケ松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年11月22日 09時34分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 今年は日本とドイツの外交関係樹立150周年にあたり、私的な催しから要人訪問まで日独両国で多彩な記念行事が実施されている。先日訪れたヴュルテンベルク州にある都市カルフでも日本フェスティバルが催されていた。そこでひときわ目を引いたのは、デュッセルドルフを中心に活動するドイツ人の戦国武者グループだ。

日独関係の今

 プロイセンの東方アジア遠征団が1860年秋、江戸に到着し、翌61年に日本と修好・通商・航海条約を結んだ。

 150年前といえば世は幕末。1853年のペリー来航から1868年の大政奉還まで、西洋の衝撃を契機に新たな日本を模索する激動期であった。

 一方のドイツはプロイセン王国が統一をリードし、小国の集まりからドイツ帝国へと変貌を遂げ始めた時期。鉄血宰相として知られるビスマルク(首相任期:1862−1890年)が国力増強と国民統合を図り、今あるドイツの原型が形作られていった。

 日独はその後、第1次世界大戦では敵国として、第2次世界大戦では同盟国として戦い、現在では両国とも経済大国に数えられている。また両国は、経済、科学、政治、文化の分野において互いに重要なパートナーであり、幸運にも深刻な国家間の問題を抱えず共通の価値観と利害を分かち合っている。

 150周年の記念行事としては文化関連が最も多く、今回取り上げるカルフの日本フェスティバルでは、茶道や戦国武者グループのデモンストレーション、日本食の出店が来訪者を楽しませてくれた。

作家へルマン・ヘッセの生地として知られるカルフの町で開かれた日本フェスティバルのパンフレット
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