アナリストにも問題あり! オリンパスの損失隠し相場英雄の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年11月17日 19時15分 公開
[相場英雄Business Media 誠]

相場英雄(あいば・ひでお)氏のプロフィール

1967年新潟県生まれ。1989年時事通信社入社、経済速報メディアの編集に携わったあと、1995年から日銀金融記者クラブで外為、金利、デリバティブ問題などを担当。その後兜記者クラブで外資系金融機関、株式市況を担当。2005年、『デフォルト(債務不履行)』(角川文庫)で第2回ダイヤモンド経済小説大賞を受賞、作家デビュー。2006年末に同社退社、執筆活動に。著書に『偽装通貨』(東京書籍)、『偽計 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』(双葉社)、『双子の悪魔 』(幻冬舎文庫)などのほか、漫画原作『フラグマン』(小学館ビッグコミックオリジナル増刊)連載。ブログ:「相場英雄の酩酊日記」、Twitterアカウント:@aibahideo


 英国人元社長の解任に端を発したオリンパスの経営問題は、過去20年間に渡る損失隠しの発覚という異常事態に発展した。混乱は民事・刑事事件への発展が必至であり、現在は同社株の上場維持の可否、あるいは捜査当局の動きが日夜メディアを賑わせている。

 株価急落の決定打となった「損失隠し」は組織的な隠ぺい行為であり、問題外だ。しかし日頃、外部から同社の業績や製品、財務をチェックしていた証券アナリストはなにをチェックしていたのか、焦点を当ててみる。

アナリストの目は節穴か

 オリンパスの株価を今一度見てみよう。英国人元社長の解任騒動が起こる直前、10月13日の終値は2482円。本稿執筆時点(14日)での直近安値は460円。株価の下落率は約80%、時価総額も6700億円から1200億円と5分の1に急減した。

 株価は水物であり、乱高下はつきものだ。ただ、これは以前から経営不安説がささやかれていた企業や、仕手株と呼ばれるマネーゲームの対象銘柄がほとんどであり、オリンパスのような巨大企業の値動きに当てはまったケースは極めてまれだ。

 なぜなら、オリンパスのように内視鏡などの医療機器で高シェアを誇り、株式を公開している企業に対しては、証券会社のアナリストが詳細な企業分析を行っているからに他ならない。

 四半期決算や新製品の売り上げ動向などで株価が調整圧力を受けるため、80%もの下落率はほとんど起こり得ない事象なのだ。

元社長の解任騒動後、オリンパスの株価が乱高下している(写真と本文は関係ありません)
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