カーシェアリングと自動車販売の意外な関係――MINI + タイムズプラスは、なぜ実現したのか神尾寿の時事日想・特別編(1/4 ページ)

» 2011年08月31日 10時08分 公開
[神尾寿,Business Media 誠]

著者プロフィール:神尾 寿(かみお・ひさし)

ALT 『TOYOTAビジネス革命 ユーザー・ディーラー・メーカーをつなぐ究極のかんばん方式』

IT専門誌の契約記者、大手携帯電話会社での新ビジネスの企画やマーケティング業務を経て、1999年にジャーナリストとして独立。ICT技術の進歩にフォーカスしながら、それがもたらすビジネスやサービス、社会への影響を多角的に取材している。得意分野はモバイルICT(携帯ビジネス)、自動車/ 交通ビジネス、非接触ICと電子マネー。現在はジャーナリストのほか、IRIコマース&テクノロジー社の客員研究員。2008年から日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(COTY、2009年まで)、モバイル・プロジェクト・アワード選考委員などを務める。

トヨタ自動車の豊田章男社長ほか、キーパーソンへのインタビューを中心にまとめた『TOYOTAビジネス革命 ユーザー・ディーラー・メーカーをつなぐ究極のかんばん方式』、本連載(時事日想)とITmedia プロフェッショナルモバイルに執筆した記事をまとめた『次世代モバイルストラテジー』(いずれもソフトバンククリエイティブ)も好評発売中。


 自動車販売への逆風が続いている。

 日本自動車販売協会連合会、全国軽自動車協会連合会、日本自動車輸入組合がまとめた今年7月の新車販売台数は、前年同月比23.3%減の37万3052台。11カ月連続でマイナスとなった。税制優遇などで維持費の安い軽自動車は堅調で、今年3月末時点の100世帯当たりの保有台数は、前年に比べて0.7台増の50.6台になったとはいえ、肝心の普通車が売れない状況は、国内自動車販売の悩みのタネになっている。

 そのような中、"クルマ離れ"の著しい都市部を中心に急成長しているのが、会員制のカーシェアリングである。クルマが必要な時に、必要な時間だけ「利用料金を支払って借りる」というカーシェアリングは、クルマ購入の初期費用だけでなく、毎月の基本料金を支払えば維持費(自動車諸税・駐車場代・ガソリン代など)は要らないというコストパフォーマンスの良さが評価されて大ヒット。時間貸し駐車場最大手のパーク24がてがけるカーシェアリングサービス「タイムズプラス」では、昨年6月の本格サービス開始から約1年余りで、5万7000人の会員を獲得している。

 クルマ販売とカーシェアリング。一見すると、対立構造にありそうな両者だが、ここにきて急接近しはじめている。その代表的な例が、パーク24のタイムズプラスと、BMWのコンパクトカーブランド「MINI」との連携だ(参照記事)。両社は東京・大阪で共同キャンペーンを積極的に展開するほか、Webサイトでの連携も深めている。

パーク24 事業企画本部 東日本タイムズプラス推進部部長の内津基治氏(右)、BMW 営業ディビジョン スペシャルセールスマネージャーの佐藤晋介氏(左)

 クルマを借りるカーシェアリングと、クルマを売る販売ビジネスの連携は、新たなカーライフスタイルの提案になるのか。パーク24 事業企画本部 東日本タイムズプラス推進部部長の内津基治氏と、BMW 営業ディビジョン スペシャルセールスマネージャーの佐藤晋介氏に話を聞いた。

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