まんべくんのTwitter騒動に学べ!(1/2 ページ)

» 2011年08月23日 08時00分 公開
[寺西隆行,INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:寺西隆行(てらにし・たかゆき)

株式会社Z会教材編集部理科課長(兼小学生コース教材担当)。幼児から大学生・若手社会人の教育に携わるZ会で、理科の教材編集に携わる社員のマネジメントと、小学生向け商材の開発担当を担う。前任はWeb広告宣伝・広報・マーケティングなどを担当。大学生の「自分創り」をサポートする株式会社レイズアイ立ち上げプロジェクトメンバー。


 ソーシャルメディアに詳しい方なら有名な、長万部町のイメージキャラクター「まんべくん」のTwitterアカウント。戦争に関するツイートをきっかけに騒動となりTwitterアカウント中止になったという話題が、8月16日のネットニュースを賑わせました(「まんべくんTwitterアカウント停止へ 発言を長万部町が問題視」)

 このところ、Twitterを始めとするソーシャルメディアの使用に関して騒動となり、今回のようにメディアを閉鎖するケースが後を絶ちません。

まんべくんのブログ

 しかし、単に閉鎖するだけでは「閉鎖した人(団体)に、普通の人(団体)ではやらないような問題があった」と、あたかもその人(団体)が特別(異質)な使い方をしたかのように扱われ、問題点の一般化が行われません。誰にでも、どんな時にでも、起こり得る問題である、にも関わらず……。

 ここで、大変な人気を博した、まんべくんTwitterの閉鎖を特別視するのではなく、ソーシャルメディアの恩恵を受けている人たち――ブログやTwitterから有益な情報を得たり、情報を出したり、使って楽しんだりしている人たち――はみんな、本件から考えてほしいんです。どう使えばいいのか、どう使わせればいいのかを。

 とにかく、バランス感覚として「団体(法人などの一員であることを明らかにしてソーシャルメディアを使ってもらう」側の立場の方は、「積極的なPR活動(情報発信)にはメリットもデメリットもある」ことをとことんわきまえておかなければいけない、ということを……。

 公式アカウントを開設したり、団体所属員のソーシャルメディアでの発言を認めたりしている場合は、運用者の活躍に期待しているわけですから、PR活動(情報発信)によりメリットを享受しようとする立場です。

 まんべくんもフォロワー数が9万人台に達し、ネット上でも何度かニュースになって話題になっていましたから、「北海道長万部町」を全国の人に存在認知させる、という点において、かなり貢献していたと推測できます(注:僕はフォローしていませんでした)。

 大企業や上場している企業、あるいは業界で売り上げナンバー1の企業や大きな団体(例えば東京都)などは、大手メディアにコネクションを作り(注:ヘンな意味ではありません、ニュースリリースがある時にすぐやり取りできるメディアの担当者とつながっておくだけで有効なのです)、メディアを通じてPR活動を行うのが最も効率がいいでしょう。しかし、そうではない企業や団体は、なかなか大手メディアのニュースで取り上げてもらえません。

 ソーシャルメディアは自らの手でPR活動を推進できる効果的な媒体であり、ソーシャルメディアを有効活用するには、PR活動において「“とんがり”を持ったネタを継続発信できる」ことが最も大切なことの1つです。

 まんべくんのつぶやきには“とんがり”がありました。継続的な発言もされており、親しんでいた方も数多くいらっしゃいます。長万部町は、(「認知される」という)この上ないメリットを享受していたわけです。

 一方、“とんがり”ネタは好悪の対象になりやすいですよね。好きな人もいれば、嫌いな人もいるわけです。そして、「PR活動として有効」と判断するなら、(好きな人の数)>(嫌いな人の数)になっていることが1つの目安なわけで。

 まんべくんのつぶやきは、いわゆる「軟式ツイート」(=親しみやすい柔らかめのつぶやき)で、かつ「毒舌」で通っていましたので、当然嫌いな人もいることを運用者側は想定しなければいけません。つまり、メリットだけではなくデメリットもあるんです。

 今回、問題視されたまんべくんの発言と、長万部町のまんべくんアカウント停止(=一発レッドカード)という処置を見る限り、「デメリットもある」ということにあまり思考を張り巡らせていたとは思えません(知ってはいた。だけど理解していなかった、くらいの温度感ですかね)。

長万部町公式Webサイト

 また、普段からまんべくんのツイートや、ツイートへの反応をあまり見ていなかったのではないでしょうか。今回の発言だけでなく、きわどい発言をかなりしていましたから。

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