ドイツメディアが注目した選手は? なでしこジャパンを振り返る松田雅央の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年07月20日 11時27分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 サッカーの女子ワールドカップは、なでしこジャパンの優勝で幕を閉じた。劣勢に立たされながらも猛攻をしのぎ、最後まであきらめない日本選手の姿は開催国ドイツでも感動を呼んでいる。一夜明けても興奮冷めやらぬドイツからレポートする。

宮間に注目

 決勝戦の前日、ズートドイッチュエ紙が取り上げた注目選手はMFの宮間あやだった。見出しは「短い足に祝福」。

 ずいぶん珍妙な見出しではあるが、記者が伝えたかったのは小さな日本人選手が大柄な欧米選手に臆さずプレーしていること。「体が大きく足が長いと機敏に動けないから、小柄な方が有利」という宮間のコメントを紹介している。

 ドイツのスポーツジャーナリストにとって、小柄な日本人選手の活躍はよほどの驚きらしい。確かに157センチの宮間は欧米選手に並ぶと際立って小さい。男子サッカーのような強さや高さを目指す欧米女子サッカーに対し、日本の闘いは新しい女子サッカーの可能性を示したはずだ。

 宮間の経歴も詳しく紹介されている。海外移籍がごく普通に行われる欧州でも、2年の間に海外3チーム(ロサンゼルス・ソル、セントルイス・アスレティカ、アトランタ・ビート。いずれも米国)を渡り歩いた宮間の経験はかなり珍しいようだ。宮間の望むところではなくチーム側の都合で仕方なくの移籍ではあったが、特異な経験であることに間違いない。

 海外でのプレー経験が絶対必要とは言えないが、海外でのプレーや生活によって、いい刺激を受け精神的に鍛えられるのは事実。人生観が変わる選手も多いだろう。宮間が「チームの精神的な支え」と呼ぶキャプテン澤穂希も米国のプレー経験が豊富だ。ドイツメディアは宮間(26歳)が澤(32歳)の後継者になると予想している。

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