30代までの課題、若手は仕事の“型”を身に付けるべき吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2011年07月01日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 「会社員が20代にやるべきことで、最も大切なことについて書いてほしい。この世代は草食系タイプ。厳しい中で仕事ができない。それを考慮してもらいたい」

 先日、出版社の部長からこんな話を受けた。30歳までくらいの社員を読者ターゲットにした本を作りたいのだという。

 私は言いたいことがあったが、不毛な議論になると思った。穏便にその場を離れ、数日後、丁重に断った。

 彼とは、前提となる認識が大きく違った。私は20代に限らず、人は誰しも働く以上、「職務遂行能力を高めたい」と考えていると思う。満足する仕事ならば、少々厳しくともトライするものだ。

 そのためにも20代にとって最も大切なことは、仕事をしていく上での「型(スタイル)」を早く、確実に着実に身に付けることだと考えている。長い会社員人生で、「型」をマスターできるのはこの時期しかない。30歳になっても心得ていないようでは、会社員としての前途は暗い。

「型」を心得ていない人は戦力になりえない

 私は30代半ばくらいまでの社会人で、編集者やライターになりたい人に専門学校で本の作り方などを教えている。そこには会社を1〜2年のサイクルで次々と辞めたり、働くことなく、親に養ってもらっている人が20〜30人いる。

 この人たちの大半は、仕事をしていく上での型を心得ていない。例えば、メールの書き方すら知らない。だから、本を作るというスキルを養っても、就職で内定を得ることができない。内定を得ても、大体は契約社員。正社員になるだけの力がないのだ。不況になると、契約を切られて無職の身となる。この繰り返しで、いつしか消えていく。「型」を心得ていない人は、戦力にはなりえないのだ。

 その「型」について考えたい。例えば、私は前述したように出版社から本を書く依頼を受けたが、即答することなく、後日、断った。これは「価値観が違う取引先と議論はしない」という、私なりの型と言える。

 相手と話し合うことは大切だが、双方のスタンスが大きく違うと、その後、仕事を一緒にしてもうまくいかない。「コミュニケーションが大切」とはよく言うが、それはある程度、前提の認識が共有できている人に限られた話だ。

 これらの「型」は、20代のころに上司や先輩から教えられ、自分なりに経験を重ね応用したものだ。250〜300ほどの型を身に付けると、仕事のレベルはある程度、安定する。そうなると、上司や周囲、取引先からも認められるようになる。

 250〜300の「型」を本当に体得できるのは、自身の経験でいえば22〜23歳からスタートして早くて28〜29歳。それが自分の血となり肉となり、完全に自分のものになるのは33〜35歳くらいだ。私はハードワーカーだったから、仕事の量が少ない人はもっと時間がかかるかもしれない。

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