「80後」ってナニ? 知らなきゃ損する中国の常識Wu Yuの中国版“新人類”とうまく付き合う方法(1/4 ページ)

» 2011年06月28日 08時00分 公開
[Wu Yu,Business Media 誠]

著者プロフィール:Wu Yu

 1980年7月7日生まれ。2004年7月、北京第二外国語大学日本語学部卒業後、日系PR会社で、日系電器メーカー広報部に出向。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程を経て、PR会社「オズマピーアール」に入社。「中国コミュニケーション戦略室」で日本企業の中国コミュニケーションプランを立案している。

 小学校から大学までバリバリの“陸上ガール”として過ごし、100メートル13秒の健脚を誇る。3度のメシより酒が好き。ビール、日本酒、紹興酒となんでもござれの酒豪でいくら飲んでも足取りはしっかりしているものの、重度の方向オンチがゆえにとんでもない方向の電車に乗ったりして、帰宅にはえらく時間がかかる。


Wu Yuさん

 みなさんは「80後(バーリンホウ)」って言葉をご存じでしょうか?

 実はこれ、私たち中国人とうまく付き合うため、まず覚えておいてもらいたい「常識」であり、これからの日中関係にも大きな影響を与える重要なキーワードでもあるんです。

 「80後」というのは、1980年1月1日から1989年12月31日までの間の生まれた世代、年齢でいえば21歳から30歳ですから日本では「20代」と呼ばれる世代でしょうか。

 「なんだ、要するに若者文化の話でしょ」と思うかもしれませんが、この10年というのは日中関係に非常に大きな意味があるのです。中国では1978年12月に改革開放があり、翌80年から一人っ子政策が本格化されました。ここから中国には海外の文化が一気に流入したことで、「日本」のイメージが衝撃的なほど大きく変わっていきます。

 「80後」である私自身のことを例に出してご説明しましょう。

 私が子どものころに抱いていた「日本」のイメージというのは、とにかく戦争に関係したもので「悪い軍人」や「罪悪の国」というものばかりでした。周囲にいるお年寄りから聞かされる話もだいたいそのような話ですし、歴史の教科書でそう教えられました。

 さらに「映画」の影響も大きいかもしれません。小学校の時、毎週木曜日の午後は「映画の日」と決まっていました。2本に1本は戦争に関係する「愛国映画」だったと記憶していますが、そこに登場する日本人もすべて悪い人ばかりだったのです。

 「日本=悪」と信じ込んでいた幼い私は、それからしばらくして衝撃を受けます。ファミコン、ウォークマン、日立やナショナルのカラーテレビなど日本の電気製品も人気となり、テレビではそれまで考えられなかった日本のドラマが放映されはじめたのです。

 『東京ラブストーリー』『101回目のプロポーズ』『愛という名のもとに』『あすなろ白書』『ひとつ屋根の下』『愛していると言ってくれ』『GTO』『眠れる森』……キムタクなども人気となりました。 ドラマだけでなく『一休さん』『ちびまる子ちゃん』『ドラえもん』『花の子ルンルン』『クレヨンしんちゃん』など数えられないほど日本のアニメが放映され、人気となりました。

 私たちは大いに戸惑いました。ドラマやアニメで描かれている日本人と、幼いころに抱いていた「悪い日本人」のイメージとずいぶんギャップがあったからです。その子どもたちこそ「80後」。つまり、私たちは180度イメージの違う2つの日本を目の当たりにして育った世代なのです。

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