第47鉄 災害と復興と洋菓子――2008年夏、柏崎杉山淳一の+R Style(1/6 ページ)

» 2011年04月25日 10時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

 2008年の夏、青春18きっぷをポケットに入れて旅に出た。ムーンライト信州で白馬へ、大糸線を乗り継いで日本海側へ出て北上した。快晴の空と青い海、海水浴を楽しむ人々。そんな風景に和んで柏崎駅で降り、街を散歩してみたら、どうもいつもの旅と勝手が違う。どこかひっそりとして、観光施設も休業中……。当時、この町は1年前の新潟県中越沖地震から再起の途中だった。震災の復興に、これほど時間がかかるとは思わなかった。

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何も知らずに東京を出発

 2008年7月20日、新宿駅発の夜行快速「ムーンライト信州」に乗った。この電車はかつて新宿から何本も出ていた山岳列車の名残だ。夜中に出発して、中央本線と篠ノ井線を経由して松本駅へ。さらに大糸線に入って白馬駅に6時前に着く。最近は登山が再び人気のようだが、このときはまだその兆しはなく、昔風の山男のグループが2組ほどしかいなかった。

 各駅停車に乗り継いで南小谷駅へ。この駅はJR東日本とJR西日本の境界になっている。JR東日本側は電化されていて、JR西日本側は非電化。当時は現役で最も古い気動車、キハ52を運行していた。廃止が近いと噂されたディーゼルカーを目当てに、多くの鉄道ファンが集まっていた。部活に通う地元の高校生が「なんで混んでんの?」と不思議がっていた。

ムーンライト信州で白馬駅着。さらに乗り継いで南小谷へ
大糸線でキハ52に乗った。2008年夏の思い出
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