スバル×ガイナックスの『放課後のプレアデス』、再生数が100万回オーバー誠 Weekly Access Top10(2011年1月29日〜2月4日)

» 2011年02月10日 13時00分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週、9番目に多く読まれた記事「スバル×ガイナックスの異色コラボ、できたアニメはクルマなし!」。スバル(富士重工業)とガイナックスと協力して、『放課後のプレアデス』というアニメを制作、2月1日からYouTubeで公開するという内容である。

 実は2年前に「自動車業界はアニメを作るべき」なる記事を勢いで書いてしまったことがある筆者。「まさか本当にやる企業があるとは……」と思いつつ、『放課後のプレアデス』を実際に鑑賞してみることにした。

放課後のプレアデス 第1夜

 魔法少女もののアニメなのだが、クルマはオープニングで少し顔を見せるだけ。しかし、ところどころでスバルの雰囲気を感じさせるモノが登場する。

 タイトルロゴの星の配置がスバルのエンブレムと共通しているし、魔法少女たちが空を飛ぶ時の音はスバル車のエンジン音、部屋のカギはスバル車のカギを模しているし、バス停の標識もスバルの工場がある群馬県太田市スバル町を示している。また、魔法少女たちのステッキはそれぞれ、レガシィやインプレッサなど、スバル車のフロントグリル&ヘッドライトをモチーフにしているようである。

 テンポ良く物語が進み、心地良い音楽も印象的な『放課後のプレアデス』。再生回数は第1夜から第4夜までを合わせて、75万回ほどになっている(2月9日時点)。そんな中、筆者が気になったのは「なぜYouTubeで配信することにしたのか?」ということ。最近、アニメの公式配信を積極的に行っているニコニコ動画で配信すれば、より多くのユーザーに届けられたのではないだろうか。

 そう思って、スバルの担当者に電話で尋ねると、「もともとスバルではYouTubeのSUBARU On-Tubeチャンネルで動画をアップしていたのだが、その活動をしている中で『放課後のプレアデス』もYouTubeとの親和性が高いと判断した」という。また、スバルの2011年度第3四半期の販売実績を見ると、日本では11万8161台、海外では36万9814台と海外販売比率が75%以上になっている。それも、国内ユーザー中心のニコニコ動画より海外ユーザーの多いYouTubeを選んだ一因となっているのかもしれない。

 ちなみにSUBARU On-Tubeチャンネルでは『放課後のプレアデス』を配信してから3日後、アニメファンの取り込みを狙ってか、声優の古谷徹さんがEyeSightに試乗する動画を公開している(こちらの再生回数は『放課後のプレアデス』ほどではないようである)。

声優古谷徹さん EyeSightを初体験!!

 海外への展開ということでは、2月6日に英語版の字幕を付けたバージョン「Wish Upon the Pleiades」も配信している。海外展開を目指すスバル主導で行ったと筆者は想像していたのだが、聞いてみると制作会社のガイナックスがアップしたのだという。「一緒に作っているので、どちらが何をしてもいい」(スバル担当者)とのことで、なかなかフリーダムな現場のようである。

 とはいえ、日本語版の再生回数75万回に対して、英語版はまだ5500回ほど。公開日が遅いことを差し引いても、圧倒的に海外より日本で受け入れられているようである。

 「当初はチャンネル全体の再生数を50〜60万回と予測していた」(スバル担当者)が、2月9日時点で再生数はすでに100万回オーバー。また、スポンサーチャンネルの再生数(日本)でも、13位にランクインしている。イラスト投稿サイトのpixivでも、『放課後のプレアデス』に関する多くのイラストが投稿されている。

気になるこだわり

 そんな好調な『放課後のプレアデス』だが、筆者には1点、気になることがあった。ちょっと次の2つの場面を見ていただきたい。

放課後のプレアデス 第1夜(5:20〜)


放課後のプレアデス 第4夜(1:28〜)

 お気付きになられただろうか? そう、パンチラしないのである。筆者、割と頑張ってコマ送りでチェックしたのだが、鉄壁のガードに阻まれてしまった。企業イメージに関わるため、大人の事情で露出を抑えているのかと思い、「何でパンチラしないんですか?」と憤然として聞いてみると……

 スバル担当者「特にそこは意図していないです(笑)。(ガイナックスに)お任せしちゃいました」

 どうやらガイナックスがスバルに気を遣ったか、見えない美学ともいうべきものにこだわったようである。もしかすると、露出が目立つ昨今の風潮へのアンチテーゼなのかもしれない。

 『放課後のプレアデス』本編は第1夜から第4夜まで4本の動画がアップされているのだが、再生時間を合計すると23分51秒。30分枠のテレビアニメの1話分と同程度のボリュームである。テレビアニメ1話分の制作費は1000万円ほどと聞くので、『放課後のプレアデス』も同じだとすると、宣伝効果でインプレッサが10台ほど売れれば、十分もとが取れる計算になる。「Yahoo!知恵袋」では「『放課後のプレアデス』の痛車を作りたい」との質問も寄せられていたりもするので(参照リンク)、そこまで高いハードルではないように思う(そもそもの目的は販売促進ではなく、ブランディングなのだが)。

 アニメ好きの筆者としては、ほかの会社もこういう試みをやってくれないものかと願うばかり。特にスタジオジブリと親交のあるトヨタ自動車が何かやってくれないものかと期待しているところだ。

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