低炭素社会を目指す、ハンブルクの挑戦を紹介しよう松田雅央の時事日想(1/4 ページ)

» 2011年02月01日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


 ドイツ北部の都市ハンブルクは、これまで積み重ねてきた環境の取り組みと先進的な将来計画が評価され、EU(欧州連合)から「2011年EU環境首都」に選ばれている。

 「交通」「大気&エネルギー」「自然&まちの緑」「都市の発展&住居」「省資源&経済」「持続可能な消費活動」という6テーマを柱に持続可能な都市の発展と低炭素社会の実現を目指すハンブルクの環境戦略を2回に渡りレポートしたい。

欧州屈指の港湾都市

 人口178万のハンブルクは中核都市であると同時に独立した州、いわゆる都市州であり、連邦制度の下で準国家的な権限と義務を持っている。あえて日本の自治体と比較すれば大阪府や京都府のような位置付けにあり、都市の規模は神戸市に近い。貨物取扱量欧州第2位の港を擁し、異国の息吹きを取り入れながら発展してきた都市の成り立ちも神戸のイメージと重なる。

 周辺地域を含めたハンブルク都市圏の人口は430万人に達し、流通、金属、商業などの大企業500社以上が集まる他、メディア関連企業が目立つのも特徴だ。またドイツの中で富裕層が最も多く、都市の魅力に溢れ、都市生活のクオリティーが高いことでも知られる。

ハンブルク港の夕暮れ
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