社会人におススメ? 放置型ゲーム『ゆけ!勇者』が面白い誠 Weekly Access Top10(2011年1月8日〜1月14日)

» 2011年01月19日 15時04分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「現役大学生が働きたい業界は『商社』……働きたくないのは?」。2位は「新成人に聞く、どんな職業に就きたいですか」、3位は「20代の若者が、“心のキレイ”な人を食い物にしている」だった。

放置型ゲーム『ゆけ!勇者』が面白い

 Grouponで半額チケットを販売したおせち料理にトラブルがあったことが大きく話題になった2011年の正月。年明けから少なからずの人が災難にあったようだが、筆者も鷲宮神社での年越し取材で風邪を引いてしまい、今年は寝正月となってしまった。

iPhoneアプリの『ゆけ!勇者』

 やることがなかったので、さまざまなゲームで遊んでいたのだが、その中で1つ、面白いゲームに出会った。iPhoneアプリの『ゆけ!勇者』というゲームである。

 ゲーム内容は非常にシンプル。勇者が向かうダンジョンとその階層を指定し、装備とアイテムを決めて旅立たせたら、後は勇者の活躍を見守るだけである。ダンジョンによって1つの階をクリアするための時間が異なっており、例えば最初のダンジョンの「冒険者の洞窟」は1つの階をクリアするのに6分かかり、最深部の10階まで行こうとすると60分(6分×10階)必要となる。

 普通のゲームだとダンジョンに入ると、どのように移動して、敵とどう戦うかといった操作が必要となるのだが、『ゆけ!勇者』が画期的なのは「放置型戦略RPG」というキャッチコピーが示す通り、勇者をダンジョンに送り込んだ後は、戻ってくるまで何もすることができないというところである。プレイヤーは、「敵と遭遇した」「泉の水を飲んで体力を回復した」「落石でダメージを受けた」といったログが刻々と表示されていくのを見守ることしかできない。

勇者の装備やアイテムを選んで、ダンジョンに送り込む(左)、送り込んだ後は、勇者の活躍をログで見ることしかできない(右)

 「そんなん面白いの?」と思う人もいるだろうが、これが意外と面白いのである。子どもの「はじめてのおつかい」をカメラ越しに見る親の気持ちとでも言ったらいいのだろうか。ひと仕事終えて『ゆけ!勇者』のログを確認した時、勇者がダンジョンを進んでいるのを見ると、「お前も頑張っているなあ」と妙な連帯感を覚えることもある。

 何よりいいのは、手間がかからないこと。気軽にできる携帯ゲームとしては、ミクシィアプリの『サンシャイン牧場』や、モバゲータウンの『怪盗ロワイヤル』なども人気だが、それらは本気で遊ぼうとするとこまめに携帯をチェックしなければならないし、トラブルを見逃して放置していると大変なことになってしまう場合もある。

 一方、『ゆけ!勇者』では勇者の装備を選んで冒険に出すと数時間何もできなくなるので、逆にそれがゆえに負担がかからないゲームとなっているのである。時間に余裕がない社会人としては、こうした手間がかからずに遊べるゲームの存在はありがたい。

 エンターテインメント業界では、よく「ユーザーの時間の奪い合い」ということが言われる。しかし、『ゆけ!勇者』のように手間のかからないゲームだと、ほかの娯楽と競合しにくいので(ほかのゲームとも並行して遊べる)、ビジネスモデルとしても面白いように思う。

 また、ゲームの性質上、操作には時間はかからないのだが、勇者を育てるための時間はかかり、それによってキャラクターへの愛着がわくので、運営側の視点としては課金がしやすいという面もあるかもしれない(『ゆけ!勇者』は現時点では広告モデルの無料アプリである)。また、初心者用ダンジョンの1つの階をクリアする時間を短くすることで、新規ユーザーがベテランユーザーに追いつきやすくすることも容易だ。ほかのネットゲームのようにプレイヤー同士の交流・対戦要素はないのだが、Twitterのハッシュタグ「#yukeyusha」を見ると、ほかのプレイヤーの様子を知ることができて面白かったりする。

 ただ、同じような仕組みを作ることはそれほど難しくないはずなので、これから似たようなゲームが増えてくるのではないかと思う。女性向けにも服を選んでファッションコンテストに参加しに行く、『ゆけ!渋谷』のようなゲームが現れるかもしれない。

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