学生の本音は画面に? 2011年の就職トレンドは“ソー活”(1/4 ページ)

» 2011年01月14日 13時30分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 “就職難”にあえぐ学生が増えている。2010年に文部科学省と厚生労働省が発表した大学生の内定率(57.6%)を見ると、「就職氷河期」と呼ばれた2004年の数字(60.2%)を下回った。

 不況が長期化する現状、就活を続ける学生にとって明るい材料はないのだろうか。「確かに就活は厳しいが、新たな兆しも出ている」というのは、就職情報サイト「リクナビ」の編集長を務める岡崎仁美氏。さらに「2011年の就職活動は“ソー活元年”になる」とも。

 「ソー活」とは一体どういう意味なのだろうか。また「新たな兆し」とはどういった動きなのだろうか。長年、転職支援に携わってきた岡崎氏が、イマドキの就職事情を語った。

2011年の就職戦線は「ソー活元年」

「リクナビ」の編集長を務める岡崎仁美氏

――2012年4月入社を目指す、大学生の就活が本格しています。しかし長引く景気低迷の影響を受け、「内定をもらうのは、かなり厳しくなるのでは」といった声が出ています。

岡崎:就職に関する報道では「就活生は困難を極める」と報じられているが、そうした中でも新たな兆しが出ている。企業はセミナーなどを開いているが、そうした席で学生は“武装”してしまいがち。また学生だけではなく、企業側もそう。双方が本音をあまり語らなかったが、ソーシャルメディアを使ったPCの画面などでは本音をさらけ出し合う傾向が出ている。ソーシャルメディアの「ソ」と双方向の「双」という文字をとり、2011年の就職戦線は「ソー活元年」になるのではないだろうか。

 こうした動きの背景には2つの要因がある。1つは学生の「就職難」と企業側の「採用難」が、同時進行していること。学生は「自分にとっていい会社」「自分に合った仕事」を選ぶ傾向が強くなっている。一方の企業は「優秀な学生を採用したい」という思いが強い。つまり双方の欲求がぶつかり合って、お互いがよりよく見せようという動きがある。こうした背景があって、学生と企業のコミュニケーション不全が拡大しているのではないだろうか。

 もう1つの背景として、2012年4月入社を目指す大学生が、1990年前後に生まれた世代であることが挙げられる。彼らはいわゆる“デジタルネイティブ世代”で、物心がついたときにはインターネットが本格的に普及し始め、子どものころから携帯電話を利用してきた。さらにソーシャルメディアにも慣れ親しんでおり、オンラインで自己表現する習慣とスキルを身につけている学生が多い。

 学生はよりよい就職先、企業はよりよい人材を追求している。こうした状況の中、新たなツールが出てきているので、学生と企業のコミュニケーションスタイルが変わっていくのではないだろうか。

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