社長命令は「サバイバルしてこい!」――あなたならどうする?松田雅央の時事日想(1/4 ページ)

» 2010年12月02日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]

著者プロフィール:松田雅央(まつだまさひろ)

ドイツ・カールスルーエ市在住ジャーナリスト。東京都立大学工学研究科大学院修了後、1995年渡独。ドイツ及び欧州の環境活動やまちづくりをテーマに、執筆、講演、研究調査、視察コーディネートを行う。記事連載「EUレポート(日本経済研究所/月報)」、「環境・エネルギー先端レポート(ドイチェ・アセット・マネジメント株式会社/月次ニュースレター)」、著書に「環境先進国ドイツの今」、「ドイツ・人が主役のまちづくり」など。ドイツ・ジャーナリスト協会(DJV)会員。公式サイト:「ドイツ環境情報のページ


テロの警備にあたるドイツの警察官と警察犬

 この前、日本からドイツへ来たばかりの技術者Aさんと話をする機会があった。彼が勤めるIT関連企業B社(従業員1000人ほど)は数年前外資に買収され、社長が外国人に変わった。これまで国内事業中心だった軸足を海外事業へ移す中、30歳代の中堅社員を海外研修へ出すこととなりAさんに白羽の矢が立った。

 Aさんによれば2週間の視察の後、残りの4週間は基本的にどう過ごしてもいいのだという。B社のトップはすぐ事業に結びつくような成果をAさんに期待しているわけではなく、国内では得られない広い視野を養わせたいと考えている。Aさんが社長から直々に受けた命令は「サバイバルしてきなさい!」

 少々唐突に聞こえる命令ではあるが、海外に住んでいると社長の意図するところがよく分る。今回の時事日想は「海外研修とサバイバルの関係」について考えてみたい。

危機管理能力

 普通、サバイバルといえば厳しい自然条件の中で生き残ることやその技術を指し、ジャングルや砂漠、極寒の地が舞台となる。ドイツにはそういった未開で荒々しい自然はないが、それでも「自分の身を自分で守る」ことの重要性は日本国内とは別次元にある。

 例えばテロの脅威から自分をどう守ればいいのか。多少極端な例ではあるが、誰しも偶然被害者となる可能性はあるし、現在ドイツには警告が出ている。11月19日には筆者にもミュンヘン総領事館から次のようなメールマガジンが送られてきた。

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