小学生の自殺は他人事ではない! 職場でもイジメは起きている吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年11月19日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 群馬県桐生市に住む小学6年生の上村明子さん(12歳)が自宅で首をつって自殺をした。その後、この事件は多くのメディアで報じられている。これらの報道を見聞きしていると、会社の中で起きるいじめと重なるものがあるように思えた。

 まず、事件を振り返りたい。朝日新聞によると、この学級は2010年度の1学期後半ごろから学級崩壊になっていた。学校側は、担任教諭である女性の指導力不足がその一因であることを認めている。明子さんは、4年生の秋に転入。両親などの話では、5年生のときからいじめを受けていたという。そして6年生になると、それがエスカレートした。

 ほかの児童が、明子さんを「くさい」などとなじることがあったという。明子さんは孤立し、給食を1人で食べるようになる。報道ではこのくらいしか明らかになっていないが、もっと激しいいじめが行われていた可能性がある。

 私が特に問題視するのは、学校側が、明子さんがいじめを受けていることを詳細に認識していなかったことだ。朝日新聞によると、学校側は「(明子さんが)6年生になって欠席が減り、委員会も一生懸命だった」と答えた。さらに担任は、明子さんが「悪口を言われていたことにも、1人での給食に苦痛を感じていたことにも気付かなかった」という。これらが事実ならば、この教師は指導力うんぬんではなく、社会人としての資質に問題があるように思える。

 学校側が明子さんの苦しみに気付くのは、自殺の2日前。その日は校外学習だった。周囲から「何でこんなときだけ来るの?」と言われた。そして明子さんは大声で泣いた。そのときに給食のときのつらさを訴えたという。両親によると、明子さんはこの日、ふさぎ込んだ様子だったそうだ。

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