なぜ梅酒ビジネスで売り上げを25倍にできたのか――中野BC・中野幸治さん(前編)嶋田淑之の「この人に逢いたい!」(1/5 ページ)

» 2010年11月05日 08時00分 公開
[嶋田淑之,Business Media 誠]

嶋田淑之の「この人に逢いたい!」とは?:

 「こんなことをやりたい!」――夢を実現するために、会社という組織の中で、あるいは個人で奮闘して目標に向かって邁進する人がいる。

 本連載では、戦略経営に詳しい嶋田淑之氏が、仕事を通して夢を実現する人物をクローズアップしてインタビュー。どのようなコンセプトで、どうやって夢を形にしたのか。日々、現場でどのように発想し、どう仕事に取り組んでいるのか――徹底的なインタビューを通して浮き彫りにしていく。


 若い世代を中心に近年、お酒を飲まない人が急増し、わが国のお酒をめぐるビジネスが厳しい環境に置かれていることは、この連載でもたびたび取り上げてきた。きき酒師でエッセイストの葉石かおりさんも「ここ4〜5年で、全国に2300軒あった蔵元が1400軒にまで減っている」と指摘している。

 しかし、そんな逆風下でも、この5年間で市場規模が倍に成長した事業分野がある。それは梅酒だ。

梅酒市場の推移(出典:サントリー)

 ブームに乗って、酒造メーカー各社は梅酒の新商品を投入するなどして売り上げを伸ばしているが、中でも過去5年間に梅酒の売り上げが25倍になった企業がある。その会社とは、和歌山県海南市に本社を置く中野BC(BCはBiochemical Creationの略)だ。

 中野BCは日本酒・梅酒・焼酎・スピリッツ・みりんなどの酒類のほか、梅果汁の製造販売も行い、梅果汁の生産量では全国一を誇る。また、梅エキスを使った機能性食品やサプリメント、そして、化粧品の製造販売も手がけている。同社製品の輸出先は、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、オランダ、ドイツ、オーストリア、スイスなどに及ぶという。

 今回、取材に応じていただいたのは、「梅酒ビジネスで、5年間で売り上げ25倍増」の立役者である同社専務の中野幸治さん(35歳)。中野さんはどのようにして、これほどの成功を成し遂げられたのか?

中野幸治さん
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