「○○君」と呼んでいた後輩が上司に……どうすればいいのか吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年10月22日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」、Twitterアカウント:@katigumi


 これまで「〇〇くん」と呼んでいた後輩が昇進し、上司になった。そのときにどう呼べばいいのか。これは会社員をしていくと、どこかのタイミングで考えざるを得ないことだ。実は、私は20年も前の大学生のときから考えてきた。

 当時の愛読書である『日本的経営の編成原理』(著・岩田龍子、文真堂)にはこういったことが書かれてある。岩田氏は、興味深い記事として読売新聞(1976年11月16日朝刊)のコラム「日本語の現場」を取り上げている。

 「くん」呼びしていた後輩が上役になった時――。「その時こそ、サラリーマンが『さん』と『くん』との間で一番思い悩む」と実社会の言語生活を研究している東京外国語大の吉沢典男教授は指摘する。

 悩んだ末に、どう決着を付けているか。「たいがいは、『くん』から『さん』や役職名に切り替えている。それが常識的な“サラリーマン作法”ですよ。タテ割組織の一員である限り、無言のうちにその作法が要求される。きちんとした組織をもつ会社ほどこうした傾向が強い」

 このくだりを読んだとき、私は思い起こしたことがある。それは、同じ高校に在籍していた友人のことだ。彼は、2年間浪人をしていた。私は1年間の浪人。私が2年のときに、彼は1年。

 私は、彼に「おい、〇〇」と呼び捨てにする。それは高校のころのままである。彼も、2人だけのときには「吉田」と呼ぶ。ところが、そこに友人が加わることがあった。友人は私と同じ2年生だが、現役で入学していた。

 友人は、私と同じ高校出身で「年上の後輩」をどのように呼んでいいのか、戸惑っていた。ふだんは私に「吉田」と呼び捨てにする。しかし、そこに「年上の後輩」がいると、どのような言葉を使えばいいのか、分からなかったのだろう。当時、急速にカラオケが流行り出したころだった。3人で行ったことがあるが、あの狭い室内で会話がどうにもぎこちなかったことを覚えている。

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