1990年代後半に入ると、特殊機能を搭載しない、いわゆる普通の時計でもサイズが徐々に大きくなる。40ミリが1つの壁だったが、ひとたび40ミリオーバーの時計が登場してからは、各社からビッグサイズウオッチが続々発売された。
また、多機能を搭載した時計はバリエーションが増え、その用途も細分化していった。それらの時計ではケース径50ミリオーバーもめずらしくなかった。右の写真は、カシオ「プロトレック」で、時計の幅は53.8ミリにおよんだ。
当時は大きくて、ぶ厚い時計を称して「デカ厚時計」と呼んだ。現在もこの「デカ厚」ブームは続いているが、今後、大きいが厚みはそれほどではない「デカ薄時計」が流行すると予測する関係者も多い。
ビッグサイズの波は、カジュアルウオッチ、ドレスウオッチ、クロノグラフなど、いろんなタイプの時計に押し寄せている。小振りといっても36ミリサイズの時計をしていた人が、44ミリをすると最初はその大きさに戸惑うかもしれないが、すぐにそのサイズ感になれてしまう。しばらくして36ミリケースを着けてみると今度は妙に小さく、何か無防備になった気持ちになるから不思議だ。
冒頭でも触れたが、日本人の体格や腕の太さを考えると、ビジネスシーンにおいては40ミリ前後のサイズがしっくりくる。逆に週末のカジュアルなスタイルで着ける時計なら、オンとオフの気持ちを切替える意味でもトレンドを意識した大きめなサイズ、ブラックやピンクゴールドといった旬なカラー、メカニカルな面構えなどを意識したタイプがお勧めだ。いくつか紹介しよう。
米軍に納入されたことで知られる「キャンパー」のダイヤルデザインを採用し、夜間も見やすい蓄光針とインデックスを搭載。ブラックを基調としたスタイルに、ダイヤル内周には24時間スケールを施すなどカジュアルなアーミーテイスト伝わる1本。
ムーブメント:クォーツ
ケースサイズ:42ミリ
価格:8925円
ケースサイズ44ミリのビッグサイズに、存在感のあるアラビック&バーのインデックスを組み合わせたダイヤルには3日間の日付が見えるデイト窓を組み合わせたモダンなデザイン。
ムーブメント:自動巻き
ケースサイズ:44ミリ
価格:8万9250円
曲線美が美しいワンピース型の六角形ケース、5本のビスなどエベルを象徴するデザインのクロノグラフ。有機的なラインを描くケースの仕上げと優れた装着感は、大人のカジュアルスタイルに似合うビッグサイズクロノグラフ。
ムーブメント:自動巻き
ケース径:48.3ミリ
価格:56万7000円
サラリーマンのかたわら、アンティークウオッチ収集に身を投じ、数奇な人生を歩む。近頃はキャラクター系クロックにまで手を広げ、ますますドロ沼にはまっている、業界屈指のゼンマイ兄貴(ほんとはオヤジ)。
新作腕時計の話はもちろん、これまでに筆者が、時間と脚力とわずかなへそくりを使って手に入れてきた古今東西の時計の数々についても語ります。博物館モノから最新モデルまで、なるほどウンチクネタを半分、トホホなズッコケ話半分くらい織り交ぜておとどけする予定です。
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