はてなダイアリーの片隅でさまざまな話題をちょっと違った視点から扱う匿名ブロガー“ちきりん”さん(Twitter:@InsideCHIKIRIN)。政治や経済から、社会、芸能まで鋭い分析眼で読み解く“ちきりんワールド”をご堪能ください。
※本記事は、「Chikirinの日記」において、2008年10月1日に掲載されたエントリーを再構成したコラムです。
職業や学校の選択、マンションの購入など、大事なことを決める時の方法には一般的な“総合評価方式”ともう1つ、“一点豪華基準方式”とでも言える方法があります。
総合評価方式とは、A商品は「高いけど好きなデザイン、でもちょっと使いにくそう」、B商品は「安いけどダサい。だけど使いやすそう」という時、下記のようにそれぞれの基準について個々の選択肢を評価し、最後に総合的な判断を考える方法です。
こうして分析すると、要素別の多数決で「Bを購入しよう」という結論になるわけです。
しかし、この方法には問題が2つあります。高度に複雑な比較検討・選択が求められる場合、「最も凡庸で、取り柄のない選択肢が選ばれてしまうこと」と「比較作業が複雑になりすぎて、決められなくなること」です。
例えば、マンションを選ぶ例で考えてみましょう。
こういった場合、総合評価方式では“特に悪いところのない”Cが選ばれがちです。しかし、Cには何ひとつ「この物件のココがすごい!」という点がありません。こういう物件を選ぶと、後から「なぜ自分はこれを選んだんだっけ?」という疑問と後悔が出てきます。
もちろん、ほかの物件でも買った後に不満は出てくるでしょう。しかし、ほかの物件であれば、「でもやっぱりこの立地は捨てがたい」とか「こんな素敵なデザインのマンションはほかにはないよ」と思えます。
一点豪華基準で選ぶ場合、Cは最初に選択肢から排除されます。その後、A、B、Dから1つを選ぶために、「自分にとって大事なのは、デザイン、利便性、自然環境のどれだろう?」という点を突き詰めて考える必要が出てきます。こうすると、「自分にとって最も大事な選択基準」が明確になるため、後悔しない選択ができるというわけです。
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