ある編集者は言う。「ライターは下請け、著者はアホでも著者様」と吉田典史の時事日想(1/4 ページ)

» 2010年06月25日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」Twitterアカウント:@katigumi


 「ビジネス書の約9割はゴーストライターが書いている」――。ある大手出版社の編集者が語った言葉だが、このことについて、他の編集者はどのように感じているのだろうか。キャリアの浅い、ある編集者はこう言った。

 「ゴーストを使おうとも、ライター、著者、編集者と役割分担ができていれば問題はない」と。

 しかし、この捉え方は実態をおさえていない、と私は思う。そこで今回の時事日想は、30代後半のフリーライター(男性)の苦しみを紹介したい。

 彼は業界紙などで10年ほど働き、30代前半でフリーになった。昨年の年収は、520万円前後(税込)。そのうち250万円ほどがゴーストライターとして稼いだものだという。著者は、企業の経営者やコンサルタントが多い。

 そして2008年の夏に、大きなトラブルが起きた。主要出版社の書籍編集者(副編集長)から「ビジネス書のゴーストライターをしてほしい」という依頼を受けた。著者は、名が知れた経営者。その時点で数冊の本を出しているが、編集者によるといずれもゴーストライターが書いたものらしい。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.