閣僚の去り際の言葉誠 Weekly Access Top10(2010年6月12日〜6月18日)

» 2010年06月24日 10時47分 公開
[堀内彰宏,Business Media 誠]

 先週最も読まれた記事は「もう限界かもしれない……“ブラック企業リスト”の実態」。2位は「モテたかったので、iPadを使いながら山手線を5周してみた」、3位は「ここでは働きたくないなあ……と大学生が思う業界」だった。

閣僚の去り際の言葉

 しばしば、「人は去り際に本性が現れるもの」と言われる。恋愛でも仕事でも「もう会わない」ということになった時、まったく態度を変えない人もいれば、もう相手に気遣う必要がないからと冷淡な態度に転じる人もいる。

 参議院選挙が近づいているが、政治家は去り際にどのような態度を示しているのか。そこで、鳩山由紀夫氏が首相を退任した時、閣僚がどのような退任会見を行ったかが各省Webサイトで公開されていたので読んでみた。当時、閣僚は再任される可能性が高いと言われており、閣僚は辞めても政治家は続けていくので、本当の“去り際”というわけではないのだが、ある程度、閣僚の人間性が現れているのではないかと思う。

 原口一博総務大臣赤松広隆農水大臣のように冒頭で就任からの8カ月間を総括した人がいる一方、千葉景子法務大臣小沢鋭仁環境大臣のように質疑応答だけのあっさりとした会見をした閣僚もいる。岡田克也外務大臣の場合は、外交文書の欠落問題に関する調査委員会の調査報告書を退任会見で発表している。

 人間性がうかがえるという意味で興味深かったのは、亀井静香金融大臣の雑誌・フリー記者向け会見。東洋経済の浪川記者との間で次のようなやりとりがあった。

浪川 東洋経済の浪川です。大変失礼な質問と発言と態度の数々、改めて、お詫び申し上げます(笑)。

亀井 少々お詫びしたのでは、おそらく足りないですね(笑)。

浪川 分かりました。

亀井 頭を丸めてきて「すみませんでした」と言ってくれれば…(笑)。

 どんなことがあったのかと思って過去の会見録を確認すると、退任会見の3日前、6月1日の会見で次のようなやりとりがあった。

浪川 東洋経済の浪川です。ゲバラ(氏)が日本に来たとき、すごい変装をしてきたのですよね。ご覧になったことありますか、写真。さっき、早川さんが言った、日本に来たときの物凄い……。分からないですよ。

亀井 変装したのですか。

浪川 はい。写真集をこの間見たのですけれども、物凄いエリートサラリーマンみたいな感じですよ。

亀井 あれは、なかなかイケメンですよね。

浪川 凄いですよ。

亀井 私と違ってね(笑)。

浪川 そうですね(笑)。

亀井 ひどいこと言いますね(笑)。

浪川 珍しく金融の質問なのですけれども、先ほども(記者)クラブの方々のどなたかが言っていましたけれども、今月は国際会議が多いと思うのですね。韓国で(G20を)やって、それから6月末にカナダで。国際金融規制の調和ということなのですが、かなり厳しい……。欧米は、自国の都合で厳しいことを言っていると。日本は状況的に関係ないのだけれども、そういう厳しい規制を適用されてしまいかねない状況にあると思うのですけれども、いかがでしょうか。

亀井 それは、今、私は、アメリカやその他が政府として、金融機関に対して報酬にまで言い出しているでしょう。今、そういう気持ちはないですけれども、かねがね言っているように、とにかく自分たちの得手勝手な振舞いで税金まで投入してもらわなければいけないような状況になって、また膨大な損失を出して、それを、今なお、損失の繰延べということで税金も払わないのでしょう。ほとんど払っていないでしょう。払っているところはあるのですか。払っていないでしょう。三菱だって払っていないでしょう、三井住友も。偉そうな格好しているくせに税金一つ払わないで、「集まってギャーギャーギャーギャー言うな」と言っているのです、本当に。

浪川 その話ではなくて、国際規制の話……。

亀井 いや、だから同じことなのです。だから、そういう、とにかく自分たちがちゃんと自ら姿勢を正して、政府から規制される前にやらなければいけないのですよ。私は、あまり規制というのは好きではないのです、本当に。自主性・自発性、そういうものを失ったら、個人だって、企業だってうまくいかないですよ。金融機関だって、金融庁が手取り足取り何でもかんでもという状況は良くありません。 そういう意味では、やはり、本当の自覚を持って進むこと。だから、外国がやっているから右へ倣えして…。私は、そういうことをすぐにやるということはありません。

浪川 サミットに大塚副大臣を送ったほうが良いと思うのですよね。

亀井 これ(大塚副大臣)は優秀ですから。

浪川 欧米を見ると、政治家が専門家でやっているから、それに対抗するには本当の専門性を持っている政治家が行かないと……。

亀井 彼(大塚副大臣)しかいないですよ。私も駄目ですしね(笑)。

浪川 大臣は駄目だと思いますよ(笑)。

 ……確かに失礼だ。亀井静香金融担当大臣の退任会見はほかにも突っ込みどころ満載なので、ぜひ一度お読みいただきたい。ほかの閣僚の退任会見のリンクも張っておくので、比較すると面白いだろう。細かいところで見ると、「お疲れさまです」と言われる人と言われない人がいて、この差はどこから来ているのかなと思ったりもした。

 →赤松広隆農林水産大臣

 →岡田克也外務大臣

 →小沢鋭仁環境大臣

 →亀井静香金融担当大臣

 →亀井静香金融担当大臣(雑誌・フリー等の記者)

 →川端達夫文部科学大臣

 →北澤俊美防衛大臣

 →千葉景子法務大臣

 →直嶋正行経産省大臣

 →長妻昭厚生労働大臣

 →原口一博総務大臣

 →前原誠司国土交通大臣

※菅直人財務大臣の退任会見は見当たらなかった。

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