ソーラー発電にした方が、“お得”なのか松田雅央の時事日想(3/3 ページ)

» 2010年06月08日 08時00分 公開
[松田雅央,Business Media 誠]
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今後問われる工事の質

 現在、ソーラー工事事業者が雨後のタケノコのように生まれているため、設置業者の質にはバラつきが大きい。そして、角度と方角が理想的でモジュールを乗せるだけでいい「工事の簡単な屋根」は今後一層少なくなる。

 平屋根の場合は角度を付けるため「モジュールを立てる」ことになるが、設計を間違えると冬の低い日差しでモジュール同士が日陰を作ってしまう。モジュールはその性質上、一部が日陰になると全体の発電を妨げることになり発電効率が著しく低下するそうだ。クルマの窓から見えた別のソーラー発電設備を指差しながら「あれはたぶん、冬場になると問題を起こすはず」と知人が説明してくれた。

 こういった事情があるため、工事に先立つソーラーパネル設置の図面作成は重要であり、そこにも知識と経験が必要となる。知人は図面作成用のプログラムを持っており、緯度・屋根の傾斜角・方角から最適な図面を作成している。出資者との契約時、発電能力に関する保証を行なうから作った後に問題が発生すると厄介だ。

 モジュールの発電効率アップはニュースなどでもよく取り上げられるように社会的注目度が高い。しかしそれだけではなく、設計から施工までを請け負う業者と職人の育成も強く問われる時代になっている。

角度を付けて設置された太陽熱温水器
※1ユーロ≒112円


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