30代で「オレ様は仕事ができる」と、勘違いしている人へ吉田典史の時事日想(1/3 ページ)

» 2010年05月07日 08時00分 公開
[吉田典史,Business Media 誠]

著者プロフィール:吉田典史(よしだ・のりふみ)

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2005年よりフリー。主に、経営、経済分野で取材・執筆・編集を続ける。雑誌では『人事マネジメント』(ビジネスパブリッシング社)や『週刊ダイヤモンド』(ダイヤモンド社)、インターネットではNBオンライン(日経BP社)やダイヤモンドオンライン(ダイヤモンド社)で執筆中。このほか日本マンパワーや専門学校で文章指導の講師を務める。

著書に『非正社員から正社員になる!』(光文社)、『年収1000万円!稼ぐ「ライター」の仕事術』(同文舘出版)、『あの日、「負け組社員」になった…他人事ではない“会社の落とし穴”の避け方・埋め方・逃れ方』(ダイヤモンド社)、『いますぐ「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。ブログ「吉田典史の編集部」


 「大学を卒業し、会社に入り10年が過ぎるころになると、『仕事をひととおりやってきた』という思いを持つのでしょう。しかし、役職もついていないし部下もいない。だから、自信が持てない。そこで上司や先輩、後輩、取引先から言われたことを否定することで、自分が精神的に優位に立とうしているのではないかと思います」――。

 人事マネジメントのコンサルティングを手掛ける株式会社アイウェーブの庄司英尚代表は、30代前半になるとなぜ目の前の仕事を否定しがちになるのか、という問いにこう答えた。

 前回の時事日想では『なぜ30代前半になると、“ゆきづまって”くるのだろうか』をテーマに書かせていただいた。私はもう一度、このテーマで取材をしたいと思い、若手社員の人材育成などを手掛ける庄司氏に質問をした。

 庄司氏は、30代前半の中には「やってきた感」に浸っている人がいると指摘する。それは、10年ほどのキャリアを積んで“自分は一人前”と感じる高揚感と置き換えることができるという。その思いがエスカレートして「新しいことを受け入れなくとも、俺はデキル」と1人で盛り上がる人がいるようだ。ひどい場合は、誰も近寄れないオーラを漂わせる人もいるという。

 この指摘を聞いたとき、私が会社員のころに同じ部署にいた女性社員を思い起こした。その女性は、「私はやってきた感」にどっぷりと浸っていた。

 当時、彼女は31歳。早稲田大学第一文学部を卒業後、入社し、ある部署に配属された。だが、そこで2年目くらいに上司や先輩の女性たちから“総スカン”状態に遭う。誰の許可もなく、1人で仕事を進め、トラブルを起こしていた。仕事ができる人ならともかく、入社しわずか数年の素人が勝手に進めるのだから、部署はパニック状態だった。

 また、この女性は気が強かった。上司や周囲の助言を無視して、その後も“暴走”を続けた。数年後、上司から追い出しを受け、私がいた部署へ異動になった。部署の責任者である部長からは「ほかの部署は彼女を引き取るのを拒んだ」ということも聞かされていた。

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